国際ピアノコンクールに出場した4人の若者の成長やピアノへの情熱、葛藤を描いた作家恩田陸さんの直木賞受賞作『蜜蜂と遠雷』。主人公の女性は大雨の日、トタン屋根に落ちる雨音にパカッパカッという「馬の足音」のリズムを聞き、「世界はこんなにも音楽であふれている」という。そういえば「雨音はショパンの調べ」というヒット曲もあった◆かなり激しい雨の夜、自分にも音楽が聞こえないかと、スレート屋根をたたく雨音に耳を澄ましてみる。感性の問題か。全く駄目だ。そう思いながらも気づけば朝なので、子守歌にはなっているようだ◆30年前のきのう1990年7月2日、県内は記録的な集中豪雨に見舞われ、多久・小城地区や佐賀市中心街が冠水した。さらにさかのぼると、72年7月初旬にも豪雨被害が起きている。その前の大きな水害は53年6月末の「二十八水」だ。「数十年に一度」の大雨はそのサイクルを守るかのように、昨夏は佐賀豪雨をもたらした◆梅雨明けが待ち遠しい7月初旬は、裏を返すと梅雨末期。2017年は「九州北部豪雨」が発生。「西日本豪雨」が起きた18年は、県内初の「大雨特別警報」が出された。九州北部豪雨は7月5日、西日本豪雨は6日だった◆今年の梅雨も末期に入った。異変が起きていないか雨音に耳を澄まし、早めに備えよう。(義)

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