2021年春卒業予定の大学生らの採用面接が6月に解禁され、佐賀県内でも企業の採用活動が本格化している。佐賀新聞社が行った調査では、新型コロナウイルスの影響で、例年より活動自体が長期化している現状が浮き彫りになった。採用担当者からは「大卒と高卒の採用活動が重なり、過密スケジュールになっている」との声も聞こえる。

 5割増の約50人の採用を予定する佐賀銀行。「計画通りの人数を確保できる見通し」としつつ、新型コロナの影響で就職活動が遅れた学生が多くいるとみて、採用活動を秋口ごろまで続ける方針。「6月以降も学生から相談が寄せられている。柔軟に対応したい」と話す。

 学生の売り手市場が続くと考え、採用スケジュールを前倒しする予定だったところも新型コロナの影響で対応の変更を余儀なくされた。3月の合同企業説明会が中止になり、ポンプ・水門メーカーの「ミゾタ」は「結果的に例年と同じくらいになった」と説明する。「いつもは6月末までにおおむね決めるが、今年は9月までずれ込む」と回答した社もあった。

 新型コロナの感染拡大が大企業の採用に影響を与え、「Uターンや地方が見直される」との見方もある。唐津市の建機メーカー「ワイビーエム」は、今まで応募がなかった大学の学生からもエントリーがあり、「就活サイトを通してのエントリーはむしろ増えている」と説明する。

 調剤薬局運営や福祉用具レンタルなどを展開する大平(小城市)は「大手が採用を絞り込んでいるため、よい人材を採れるチャンス」と捉える。少子化の流れで地元志向は強まっており、「地域枠」を設けるなど新たな取り組みを考えている。

 「大手の採用が絞られていることを実感する」と話すのは、IT関連企業の担当者。内定辞退が相次ぐ近年の傾向とはがらりと変わり、今年は「内定辞退がほぼなく、動向が読みづらい」と悩む。

 直接会うことができる職場見学も面接もストップした異例の採用活動。慣れないながらもウェブ面接などに取り組む企業が増え、「予定している」を含め、47・5%がウェブの活用を進めていることも分かった。

 「学生とのスケジュールが組みやすい」「学生側からの質問が多く出る」といった長所が挙がる一方、「表情の変化が分かりづらい」「人柄などを見抜くことが難しい」との声もあった。

 医薬品製造などを手掛ける企業の担当者は「実際に会って話をしてもうまくマッチングせず、早期離職となることもある。ウェブではますます分かりづらい」と懸念する。「時間がかかっても、直接会いたい」と話す。

 こうした一方で県内は中小企業が多く、「(ウェブの)必要性は感じるものの、手が付けられない」との声も上がった。

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