ふるさと納税を巡る訴訟で、大阪府泉佐野市の逆転勝訴とした最高裁判決の要旨は次の通り。

 【ふるさと納税の新制度】

 一部の地方自治体が過度な返礼品を送って多額の寄付金を得ているとして、総務省は2019年2月、地方税法改正案を国会に提出。「寄付額の30%以下の地場産品」とする返礼品の基準を満たす自治体を総務相が指定するとし、同3月に成立した。

 総務相は改正法に基づき19年4月、募集適正基準を定める告示を出した。18年11月から申し出書を提出するまでの間に、趣旨に反する募集で多額の寄付金を受領した自治体でないことなどを挙げた。

 【泉佐野市の不指定を巡る経緯】

 泉佐野市の17、18年度の寄付金受領額は全自治体の中で最多だった。19年4月に指定の申し出をしたが、18年11月から申し出書提出までの返礼割合は3割を超え、地場産品以外を提供したとして、総務省は19年5月に不指定とした。

 【最高裁の判断】

 不指定には理由があるとして適法とした大阪高裁の判断は是認することができない。

 告示は自治体に対する国の関与に当たる指定の基準を定めており、策定には法律上の根拠を要する。改正法施行前は返礼品の提供について定める法令上の規制は存在せず、総務相から技術的な助言である通知が発せられていたにとどまる。そのため告示は、助言に従わなかったことを理由とする不利益な取り扱いを定める側面があることは否定しがたい。

 募集適正基準とは、指定対象期間に寄付金を適正に募集する自治体か否かを判定するためのものと解するのが自然。改正法施行前の募集実績で指定を受ける適格性を欠くとすることを予定していると解するのは困難だ。

 改正案が、過去に制度の趣旨をゆがめるような返礼品の提供をした自治体を対象外とするものとして提出されたとはうかがえず、総務相の国会答弁で明示的に説明されたとは言えない。告示は違法で無効だ。

 泉佐野市の返礼品提供の態様は社会通念上、節度を欠いていたと評価されてもやむを得ないが、告示を理由とした不指定は違法だ。裁判官全員一致の意見。

 【補足意見】

 ▽宮崎裕子裁判官

 改正法は、寄付金であることを前提とする制度趣旨と、実質的に税であることを前提とする制度趣旨がバランス良く達成されるための仕組みを初めて導入したものだ。その仕組みを欠いていた施行前の自治体の行為を、制度の趣旨に反するか否かという観点から評価することは無理がある。

 ▽林景一裁判官

 法廷意見に同調するが、結論にはいささか居心地の悪さを覚える。泉佐野市が改正法成立後も返礼割合を高めて募集を加速したことには眉をひそめざるを得ない。通常期待される水準を大きく上回る税収を得て、ある意味で制度の目的を過剰に達成してしまっている。新制度の下でさらなる税収移転を追求することは許されるべきではないのではないか、という感覚を抱くことはそれほど不当なものだとは思われない。

 【裁判官】

 最高裁第3小法廷 裁判長 宮崎裕子、裁判官 戸倉三郎、林景一、宇賀克也、林道晴 【共同】

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