2018年7月の西日本豪雨で長さ約30メートルにわたって崩落した佐賀市富士町の広域農道。三瀬、富士、大和などの山間部では、土砂災害警戒区域に設定されている地区が少なくない

佐賀市中心部の内水ハザードマップ(一部)。黄色の部分は50センチ未満の浸水を想定している

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 近年、豪雨被害が相次いでいる。各市町では、洪水や土砂災害などを想定した防災マップを作成しており、住民に注意を呼び掛けている。県内市町の担当者に防災マップを解説してもらい、注意点などをまとめた。

 

■中心部 駅や佐大付近浸水リスク

 佐賀市では洪水や内水、土砂災害などの区分ごとにハザードマップをとりまとめ、北部、南部、中部とエリア別に作成している。洪水ハザードマップは、筑後川や早津江川、嘉瀬川、佐賀江川など佐賀市周辺の河川が想定される最大規模の降雨で増水し、堤防が破堤した時の浸水区域や水深を示している。

 市内の広い範囲で最大で3メートル未満の浸水が想定され、地区によっては、それ以上の浸水に見舞われる可能性もある。

 佐賀市中心部は勾配が少ない低平地という地形的な要因から、大雨による浸水が起きやすい。佐賀駅周辺や佐賀大本庄キャンパス付近などは水はけが悪くなって起こる内水氾濫が発生しやすい。昨年8月の佐賀豪雨では、1時間当たり100ミリを超える雨量により、佐賀市では床上・床下浸水の被害にあった住宅が約2900棟に上った。

 1953(昭和28)年に氾濫したこともある嘉瀬川の流域の一部では、堤防決壊などで氾濫した際に、木造家屋が倒壊する恐れがある。早めの避難が大切だ。

 

■周辺部 市北部は土砂災害要警戒

 市北部では三瀬村や富士町、大和町、金立、久保泉地区の山間部などが土砂災害警戒区域に指定されている。昨年8月の佐賀豪雨では、金立・大門地区に大量の土砂が流れ込み、家屋の全壊や道路の寸断などの被害が出た。

 弱い雨でも、土に染み込んだ水が多い場合は、いつ土砂災害が発生してもおかしくない。県が防災情報などを配信する「あんあんメール」で、大雨警報や土砂災害警戒情報に注意しておく必要がある。

 嘉瀬川流域では、河岸浸食で周囲の家屋が倒壊する恐れもある。

 有明海に面する市南部は、台風時の高潮への警戒が必要。市が作成した高潮ハザードマップは、1959(昭和34)年に甚大な被害をもたらした「伊勢湾台風」(930ヘクトパスカル)級の台風を想定し、最もひどい場合の浸水の深さを示している。マップでは、市南部の広い範囲で1~2メートル未満の浸水を想定。筑後川や早津江川、八田江川の近くでは2~5メートル未満の浸水も考えられ、注意しておきたい。(市消防防災課・松尾剛慈さんに取材)

 

■防災マップ活用法 自宅周辺地域の被害想定確認を

 ハザードマップは、想定する浸水の深さを色分けして表示している。水深50センチは大人の膝上くらい、1メートルは腰ぐらいで、3メートルは建物の1階が沈む程度の深さ。自宅の場所に印を付け、周辺地域でどういう被害が想定されるのかを見ておく。

 地図で近くの避難所の場所を確認し、どの経路が安全なのか検討して実際に歩いてみることも大切だ。

 避難所は、必ずしも近くの指定避難所に避難しないといけないわけではない。状況に応じて、安全が確保できれば建物の上部への垂直避難や知り合いの家に避難することも有効。

 ハザードマップには避難時に必要となる持ち出し品のリストなどが掲載されており、日頃から確認して備えておきたい。今年は新型コロナウイルス対策として、避難所にはマスクや体温計も持って行くことができれば良い。

 ハザードマップは各市町で各戸に配布されているほか、市町庁舎に置いている。ウェブサイトでも閲覧できる市町も多い。

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