よく知られた浮世絵の歌川広重の「ヒロシゲブルー」も、葛飾北斎の「富嶽三十六景」の青い大波も、もとをたどれば武士のふんどし…こんな話、信じられます?◆江戸時代、参勤交代で江戸詰めになった独身や単身赴任の藩士のために、「貸しふんどし屋」があった。3日置きとか10日に1回とか、契約すれば洗い立てが届いた。使い古したふんどしは別の業者が買い取り、藍染めして野良着に仕立て直し、東北一円に売りさばいた◆ぼろぼろになるまで百姓が使った野良着は、再び買い集められ江戸へ運ばれた。布を水にさらして、うすでつけば藍色の成分が集まる。それを固めた顔料が浮世絵にも使われた(岩原俊「貸しふんどしの話」)。ふぅ、やっとつながった◆どうやら現代は江戸時代ほど資源の循環がうまくいかないらしい。新型コロナによる移動制限で、家庭の衣類ごみが東南アジアなどに運び出せず、国内でたまるばかり。このままでは収集をストップせざるを得なくなる、と佐賀市も「衣類ごみを出すのはしばらく控えて」と呼び掛けている◆豊かさとはこれまで、何かを「手に入れる」ことだった。それを「どう使うか」には熱心になれず、手放せばそれでおしまい。徹底した「使い方」を心得た江戸の昔に、これからの豊かさを学びたい。ふんどしを締め直して。こりゃ失礼。(桑)

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