梅雨が本格化し、佐賀県でも激しい雨が降っている。伊万里市では27日、観測史上最多の3時間雨量を記録した。昨年8月末の佐賀豪雨を思い起こす。新型コロナウイルス対策も含め、改めて教訓を生かした備えを進めたい。

 先週末からの大雨で、携帯電話やスマートフォンから大きな警告音を伴う緊急速報メールが流れてきた人も多かったのではないか。これまで「避難指示」などで発信する自治体も多かったが、今年は国の大雨警戒レベル4や土砂災害警戒情報発表など早い段階で発信するケースも増えている。幸い、大きな被害はなかったが、避難への備えを考える機会にしたい。

 今年の大雨対策には新たに新型コロナウイルスへの対応が必要になっている。避難所の1人当たりのスペースは「3密」を防ぐため、これまでの2平方メートルから倍の4平方メートルが必要とされる。自治体は避難所を増やすほか、状況に応じて学校や民間施設などに避難場所を広げる対応を考えている。避難所用の仕切りやテントなどの購入も進めている。

 感染を防ぐ備品整備も同様だ。消毒液やマスクはもちろん、自治体によっては防護服や手袋、汚物を自動で包むトイレ、除菌洗浄水生成器を備えるところもある。

 ただ、備品購入が間に合っていない自治体も多い。新型コロナウイルスの感染が拡大したのは春からで、予算措置が6月補正予算になったためだ。避難所の間仕切りや品不足の非接触型体温計がそろっていないケースは多い。万全とはいえない状況での対応も考えておく必要がある。

 昨夏の佐賀豪雨の教訓を生かすために、甚大な被害に遭った武雄市や杵島郡大町町の対応からも学びたい。武雄市は避難所で使う段ボール製の間仕切りを佐賀市の会社と共同開発。そうした災害対応備品を収納する倉庫を全9町に造る。看護師や保健師らに災害時のボランティア登録を呼び掛けている。大町町は救助用ゴムボートを8隻購入し、町内の全消防団格納庫に配備する。大きくて免許も必要だった1隻では対応が難しかったことを教訓にした。両市町とも避難者に避難所運営に参加してもらうことも重要と考えている。

 佐賀豪雨で救助活動に当たった杵藤地区消防本部の消防士は、消防職員の意見発表で、災害時に避難の完了や無事が分かるように、家の玄関など外から一目で分かる場所に白いタオルを結び付けることを呼び掛けた。そうすれば地域の人も含め、安否確認や救助作業が迅速になる。ぜひ生かしたい。

 行政だけでなく、私たちも怠りなく備えたい。避難所の収容人数が減ることを受け、自治体は自宅2階への垂直避難や知人や親類宅、車中避難などを事前に検討しておくことを呼び掛けている。多くの市町の6月の広報には、体温計や手指消毒液、ウエットティッシュ、ビニール手袋など新型コロナ対応で備えておくべき品も掲載されている。準備しておきたい。

 昨夏の佐賀豪雨は、線状降水帯によるわずか3時間の激しい雨が甚大な浸水被害を引き起こした。未明の豪雨で避難する間もなかった人が多数いた。山から下りてきた水で数時間後に浸水が深刻化した地域もあった。わが身に起こり得る事態として考え、備えたい。(小野靖久)

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