自然に囲まれたキャンプ場で、仕事に取り組むANDCOの社員たち=唐津市鎮西町の波戸岬キャンプ場

自然に囲まれたキャンプ場で、仕事に取り組むANDCOの社員たち=唐津市鎮西町の波戸岬キャンプ場

 観光地などで休暇を楽しみながらテレワークをする「ワーケーション」が県内でも始まった。佐賀市の企業が制度を導入し、唐津市のキャンプ場では通信環境を整備して受け入れを進める。新型コロナウイルスと共存が求められる時代、3密を避けた新しい働き方と地域の観光振興をつなぐ「一石二鳥」の取り組みとして国も推進する。

 ワーケーションは、ワーク(働く)とバケーション(休み)を組み合わせた造語。休暇中に旅行先などで、遠隔で仕事をする働き方だ。2018年には大手航空会社の日本航空(JAL)が制度を導入。19年度は約250人が利用し、年々取得する社員は増えているという。

 唐津市鎮西町の波戸岬キャンプ場。眼下に広がる海のそばにテントを張り、パソコンを開く姿があった。佐賀市嘉瀬町のウェブサイト制作会社「ANDCO(アンドコ)」は、5月にワーケーションを制度化した。社員に仕組みを理解してもらおうと、同29、30日に佐賀オフィスの全社員で体験した。

 社員の渕上悟史さん(36)は「会社や家など決められた空間ではないから、久々にリフレッシュできた。意外に時間のメリハリがついた」と仕事の効率化を実感する。この後、既に4人が制度利用に手を挙げているという。

 利用する社員はアプリでタイムカードを押し、仕事中はチャットでやりとりをする。「忙しいと有給休暇を取りにくい状況があり、導入を決めた」と江口英希社長(45)。新型コロナを機に、在宅勤務ができる環境を整えたことも取り組みを後押しした。江口社長は「社外で働くことの抵抗感がなくなり、心構えができた」と話す。

 新型コロナの影響で、外国人観光客を含めて客足が遠のく観光地を支援しようと、政府もワーケーションに着目する。環境省は4月の補正予算で推進費6億円を計上し、国立・国定公園などがある市町の旅館やホテルを対象に、Wi-Fiの整備を支援している。

 県内唯一の国定公園「玄海国定公園」にある波戸岬キャンプ場も、この補助金を申請しており、敷地内の全てでWi-Fiが使えるように準備を進めている。4月には、施設内でテレワークをする利用客の姿もあったという。

 利用客の7割は福岡県からで、指定管理者になっているヴィレッジインク(本社・静岡県)の執行役員の加納達也さん(38)は「コロナで働き方が大きく変わっている。IT企業が多い福岡から近い立地で、十分商機はあると思う」と期待を寄せる。

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