プラスチックごみによる海洋汚染防止を目指したレジ袋の有料化が始まる。世界では有料化はもちろん、使用を禁じている国も多く、遅ればせながらの導入となった。

 だが、今回の制度には、対象に多くの例外が認められるなど、さまざまな問題点が指摘されている。環境汚染を引き起こす使い捨てプラスチックはレジ袋以外にも多数あり、有料化は海のプラスチックごみ対策の小さな第一歩でしかない。

 これをきっかけに、行き詰まりが深刻な日本のプラごみ政策の根本的見直しに乗りだすべきだ。

 7月1日からの新制度は、コンビニやスーパーなどでのレジ袋の無料配布を禁じ、1円以上の有料とすることを法律で義務付ける。

 問題は、厚さ0・05ミリ以上の袋や、植物由来のバイオマス素材の配合率が25%以上の袋などが例外とされたことだ。バイオマス素材を含むことを理由に、無料配布を続ける外食チェーンなどは少なくない。

 だが、バイオマス入りの袋は原料となる石油の削減にはなるものの、環境に出た時の影響はさして変わらない。逆に、微粒子状の「マイクロプラスチック」になりやすいとの指摘もある。

 「繰り返し使える」というのが厚い袋を例外とした理由だが、厚いからといって使い捨てされないという保証はない。もう一つの例外の「海洋生分解性プラスチック」については定義さえ明確になっていない。

 「環境に優しい」といったうたい文句の例外は消費者を混乱させることになる。フランスは今年2月に制定した新法で、消費者に適切な情報を与えるとの観点から「生分解性」や「環境を尊ぶ」といった文言を使うことを禁じている。

 多くの例外を設けたことにはレジ袋削減にまじめに取り組む企業からも批判が出ている。

 また、有料袋の価格は企業任せなので、削減効果のある価格設定がされるかどうかは未知数だ。

 日本では年間約900万トンのプラスチックごみが出るが、レジ袋はそのほんの一部でしかない。毎年約20億本が回収されずにいるペットボトルや、レジ袋以外の食品包装容器などの使用量を減らし、環境への悪影響を小さくする方策は手付かずのままだ。

 しかも、日本のプラスチックごみの7割近くが焼却され、リサイクル目的で回収されたプラごみの多くが海外に輸出されているので、国内で真にリサイクルされているものは全体の10%にも満たない。

 地球温暖化対策の観点から欧州連合(EU)などは安易な焼却を見直す方向に動いている。海外へのプラスチック輸出も難しくなっており、大量生産と大量リサイクルを中心とする日本のプラスチックごみ対策は、完全に行き詰まっている。

 廃棄物問題に関しては、製品の生産や使用時だけでなく、ごみになったときの費用にまで企業に責任を負わせる「拡大生産者責任」の原則が国際的な常識となりつつある。だが、日本の法制度はこれが不徹底で、企業に使い捨てプラスチックの生産を減らし、再利用やリサイクルがしやすい製品をつくろうとの動機づけが存在しない。

 全ての使い捨てプラスチックを対象に、拡大生産者責任の原則を徹底させる包括的なプラごみ削減法の整備が急務だ。(共同通信・井田徹治)

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