春夏秋冬。日本人は古来、四季の寒暖に合わせて暮らしをいとなんできた。新型コロナ禍で新しい日常が求められるいま、〈これからは「春夏秋冬」に「災」を加えた五季を意識しながら、日々の生活のリズムを作っていかないといけないのかなァ…〉。萩本欽一さんが週刊誌の連載で語っていた◆おととい大雨の朝、緊急速報メールのけたたましい着信音に、久しぶり肝を冷やした。どんな季節の移ろいも、草木や野山の生きものたちが変化の兆しを告げるように、「災」の季節の訪れは、あの不穏な音がいやでも教えてくれる◆大雨の危険度を知らせる警報は5段階でわかりやすくなったが、昨年8月の佐賀豪雨では、なかなか避難行動に結びつかなかったという。コロナ感染の警戒心も加われば、避難所に向かうのを余計ためらうかもしれない◆「観天望気」という古い言葉がある。昔の人たちは雲の形や動き、風の吹き具合、月や太陽の見え方などから経験的に天気を予想した。気象情報の精度が高まり、もう空を眺めることのなくなった現代人はどこか受け身で、防災情報さえも自分のものにできないでいる◆季節の変化は色や音、香り、味わいといった五感で感じ取る。欽ちゃんの言う通り四季に「災」を増やすなら、五感にも一つ加えて研ぎすませたい。危険を察知する「第六感」を。(桑)

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