これまで文化、社会、経済、人間関係などの発展は、「3密」というシステムによって支えられてきました。3密とは、「密閉」(窓がない、換気が十分できない、などの会議室やホール)、「密集」(人がたくさん集まる、少人数でも近い距離で集まるなど)、「密接」(お互い手が届く距離で会話をし、言葉を掛け合うなど)を意味します。この3密によって築き上げられた人と人との信頼関係、安心した関係、心地よい関係、群れながら行動する―によって、癒やされ、深まり、楽しんだり、リラックスできる場を持つことにより、感情交流を深めてきたと思います。

 しかし、この3密関係を控える生活様式は、私たちの生活を大きく変化させようとしています。改めて、感染症とは恐ろしいですね。自由が奪われたような感じ。絶えず何か目に見えない大敵に監視されている気がします。

 心の健康(メンタルヘルス)を専門とする私たちの仕事は、対面でお互い日頃のストレスを適度な距離で自由に語り合うことにあります。それができない。同僚との関係(新年会や送別会など)や同業者同士の語り合い(学会など)もすべて中止。どうやって、ストレスを解消したらよいのでしょうか?

 5月30日付の佐賀新聞10面「メダカの“うつ病”に着目 名古屋大チーム、人への治療薬候補発見」というタイトルに興味を抱きました。健康であれば、群れをつくりながら、集団で一つの方向に進みます。しかし、うつ状態に陥ると、他の個体に興味を示さず、ばらばらに行動するようになっていたそうです。

 メダカも人間も同じ。コロナ禍によって、今、私たちは群がることを良しとせず、バラバラにお互いに近寄らないように行動するまるで「社会がうつ状態に陥っているかのような」と思います。早くこの時代から卒業したいですね。(九州大学キャンパスライフ・健康支援センター教授・副センター長・統括産業医 佐藤 武)

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