ござに寝転びながら映画を楽しむスタイルが魅力の古湯映画祭=佐賀市富士町のフォレスタふじ(2019年9月撮影)

 佐賀市富士町の「古湯映画祭」の実行委員会は22日、今年9月に予定していた映画祭の中止を決めた。新型コロナウイルスの影響で映画監督や俳優ら招待ゲストの調整が難航した上、延期しても全国の感染状況次第で中止を余儀なくされる恐れがあると判断した。全日程の中止は台風による2016年以来2度目。

 佐賀市富士支所で22日、実行委の会議が非公開であり、富士町内の組合などの代表者10人が全会一致で中止を決めた。

 今年は37回目に当たり、例年と同じ佐賀市のフォレスタふじを会場に、9月19日から3日間の日程で準備を進めてきた。開催可否は、県内の有志でつくる映画祭スタッフ会議や実行委で、4月から協議を重ねてきた。メンバーからは「オンライン映画祭にしてはどうか」「ドライブイン上映はどうか」などの意見も出た。協議の末、「古湯映画祭の魅力は映画人との出会いにある。富士町を訪れてもらうことが一番の目的」と開催を断念した。

 映画祭は、山あいの町を活気づけようと1984年に有志の呼び掛けで始まった。監督や俳優らゲストと観客の距離が近いことが魅力で、ござを敷いてくつろぎながら観賞する独特のスタイルが人気を集めている。温泉も楽しむことができ、2018年には来場者が延べ10万人を突破した。

 今年亡くなった大林宣彦監督や佐々部清監督に加え、鈴木清順監督や山田洋二監督ら日本映画を代表する名匠や、役所広司さん、仲代達矢さんら多くのスターがこれまでに訪れている。

 実行委の大歯雄司会長は「2016年の中止の際と異なり、ずっと考え、協議を重ねてきた。心苦しい決断だが、ウイルスの影響を考えると仕方ない。来年こそ、皆さんに会えるように願っている」と話している。

このエントリーをはてなブックマークに追加