佐賀豪雨災害調査報告書を手にする調査団長の大串浩一郎教授=佐賀市本庄町の佐賀大

 佐賀大などの研究者でつくる昨年8月の佐賀豪雨の災害調査団は、これまでの調査結果の報告書をまとめた。今後も豪雨災害の恐れがあることや、浸水被害が起こりやすい佐賀平野の特性を踏まえ、遊水池など伝統的治水技術を使った対策の必要性も示しつつ、「常識にとらわれない検討が重要」と提言している。

 調査団は、全国の研究者でつくる土木学会水工学委員会が、佐賀豪雨を受けて立ち上げた。佐賀大を中心に水工学や地盤工学、気象などが専門の23人で構成し、今年3月まで約7カ月にわたって調査してきた。

 報告書では、六角川流域の被災状況や豪雨を引き起こす線状降水帯の影響をはじめ、氾濫のシミュレーションや杵島郡大町町で発生した工場からの油流出事故に関する検証を掲載している。調査結果を踏まえた教訓・提言もまとめた。

 低平地の佐賀平野は、堤防の決壊や越水による外水氾濫と、水はけが悪くなる内水氾濫のリスクがあり、提言では双方のバランスを取りながら対策を検討する重要性を示した。油流出事故に関しては「自然災害に伴う複合災害を想定した取り組みを各事業者が平時から行い、地域住民とのリスクコミュニケーションも進めることが事故防止につながる」とした。

 気候変動などによって、局所的短時間の集中豪雨が今後も発生する可能性が高いことも挙げ、今後の防災や減災には最新技術の導入とともに「佐賀平野の藩政時代からの伝統的治水技術を、地域特性に応じた技術として検討する価値がある」と指摘した。氾濫時に自動車で避難する危険性についても言及した。

 調査団長の大串浩一郎佐賀大理工学部教授(河川工学)は「今後の防災を考える場合は、佐賀豪雨を上回る災害が起こることを想定する必要がある。人口減の中で、災害の少ない地域に都市機能を集約するコンパクトシティーなど、まちづくりの視点を含めた中長期対策も求められる」と話す。調査団は継続し、調査報告会も計画する。

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