枝などをかき集め、電柱に設置された巣台に作られたカササギの巣とカササギ=小城市小城町(日本野鳥の会佐賀県支部・青栁隆さん提供)

 小城市の電柱に人工的に設けられたカササギの「巣台」に、繁殖のための巣ができた。巣に使われる木の枝などの落下を防ぐために、九州電力グループが2017年に設置したもので、この場所で育ったとみられるひなも初めて確認。営巣に適した高木が減り、カササギの8割が電柱で繁殖するともいわれる中、野鳥の保護団体は「人間社会との共生への一歩」と評価している。

 カササギはカラス科の野鳥で、「カチガラス」とも呼ばれる。北半球全域に生息しているが、日本では佐賀平野を中心とする九州北部に限られ、国の天然記念物に指定されている。

 九州電力送配電(九電の子会社)などによると、昨年、佐賀県内の電柱でカササギの巣が確認された数は2556個。過去10年で最も多かった12年の4350個から約4割減った。住民から「枝が落ちて汚れる」といった苦情が寄せられたり、巣に混じったハンガーなどが電線に触れて停電が起きたりして、除去された巣もあるという。

 巣台は繁殖環境を保護するために、日本野鳥の会県支部と協力して試験的に導入した。頻繁に営巣される県内の電柱約10カ所に直径1メートルの円形の金網を設置。このうち小城市の1カ所で今年1月に巣作りが始まり、5月下旬には近くの木にいたひな1羽と親鳥を野鳥の会の会員が確認した。

 カササギは1月から6月に繁殖用の巣を作る。九電送配電はこの間、多くの巣を残せるように絶縁カバーを電線に付けるといった停電防止策も講じている。日本野鳥の会県支部長の宮原明幸さん(66)=佐賀市=は「人の暮らしへの影響を抑え、カササギも安心して子育てができる環境が整いつつある」と取り組みに期待する。

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