作家山崎豊子さんの代表作の一つ『白い巨塔』は名門大学の医学部を舞台に、大学医局内のどろどろとした権力闘争や医局制度の問題点などを描く。さまざまな策略が張り巡らされる医学部の教授選で、主人公の支援者がこう言って高笑いする。「選挙と名のつくものは所詮(しょせん)、みんな金に結びついている。資金繰りの強い奴(やつ)の方が勝つに決まってる」◆そんな会話が、この選挙でも交わされたのだろうか。昨年7月の参院選広島選挙区で初当選した河井案里参院議員と、夫で前法相の河井克行衆院議員がきのう18日、公選法違反(買収)の疑いで逮捕された◆自民党本部から案里氏陣営に渡った資金は1億5千万円ともいわれる。「黒い金」の流れは今後明らかにされるだろうが、不正使途の資金源は結局、税金ではないのか。断じて許されない。コロナ禍で困窮する家庭がある今だから余計に腹が立つ◆『白い巨塔』の別の場面では、主人公の友人が熱く持論を語る。「選挙という形そのものは民主主義に沿った理想的なもの。選挙そのものではなく、選挙を行う者の良心の問題なんだ」◆東京都知事選がきのう告示され、過去最多の22人が出馬した。コロナに五輪と課題は山積。良心に従い、公明正大な論戦を望む。ファン待望のプロ野球はきょう開幕だ。こちらも正々堂々の熱戦を期待したい。(義)

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