九州新幹線長崎ルートの2022年度の暫定開業に向け、工事が進む武雄温泉駅=昨年12月、武雄市武雄町

 九州新幹線長崎ルートの未着工区間(新鳥栖-武雄温泉)を巡り、佐賀県は17日、国土交通省から提案された複数の整備方式に対応する環境影響評価(アセスメント)の実施には「同意できない」と回答したことを明らかにした。「実質的にフル規格とミニ新幹線のためのアセスではないか」と反発し、「大変遺憾」との認識を示した。

 国交省と県は5日から整備方式の「幅広い協議」に入った。協議対象は、スーパー特急、フリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)、リレー(対面乗り換え)方式の在来線を生かす三つに、大規模な工事が必要なフル規格とミニ新幹線を加えた5方式。国交省は16日に示した提案文書で「複数年を要するアセス実施期間に、腰を据えて『幅広い協議』をすることが可能になる」とした。

 県の責任者である南里隆地域交流部長は17日の県議会一般質問で、スーパー特急、FGT、リレーの3方式は過去に事業認可され、国交省鉄道局が与党に示した資料でも「FGTにアセスは不要」としている点を挙げ、「5方式全てにアセスが必要であるかのような誤解や議論の混乱を招く表現」と指摘した。その上で「実質的にフル規格とミニ新幹線のためのアセスではないか」と批判した。

 南里部長は16日に「同意できない」と電話で回答したことを明かし、「幅広く議論していこうとした矢先に、議論の混乱を招くような提案をされたことは大変遺憾だ」と述べた。

 国交省幹線鉄道課は「正式な回答とは認識していない。県の意向を最大限に踏まえた提案で、しっかり受け止めた上で回答してほしい」と改めて対応を求めた。

 同課によると、リレー方式はアセスが不要だが、FGTとスーパー特急は法律に基づかない「自主アセス」を想定している。FGTはアプローチ線の工事に伴う小規模なアセス、スーパー特急は武雄温泉-長崎間の新幹線幅のレール(標準軌)を在来線の狭い幅(狭軌)に敷設し直す改修に伴うアセスを考えている。「整備方式の結論によっては、他の方式のアセスが不要になることも覚悟で提案した」と説明している。

 山口祥義知事は、国交省の提案はフル規格のアセス実施を意図しているとの見方を記者団に示し「驚いた。話にならないというのが庁内の共通認識。(国交省は結論を)急いでいるのかなと思う」と述べた。

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