緑に囲まれた自宅で執筆する佐々木信子さん=唐津市鎮西町加倉

 九州の文芸同人誌「九州文學」の年度賞・優秀賞に、唐津市鎮西町の佐々木信子さん(66)の小説「波紋」が選ばれた。自然に囲まれた同町をモデルに、人々が野生動物と共存していくジレンマを描いた。

 九州のアマチュア作家による約70作品の中から一席に選ばれた。「波紋」は畑を荒らす動物に発砲するハンター、銃声による牛の生育への影響を心配する畜産業者などの思いが交錯する。佐々木さんは「水面下では動物たちの暮らしもあって、一緒に生きてる。そんな折り合いを描いた」と語る。

 舞台となったため池に足しげく通い、そこに息づくカモやウシガエルなどを丹念に描写した。選考委員は「動物のふれあいとともに人間を描く『セラピー小説』の分野を切り開いた」と評する。

 県文学賞で随筆に応募したのをきっかけに、28歳から唐津の文芸同人誌「玄海派」で書き始めた。2001年に短編「ルリトカゲの庭」が北日本文学賞(北日本新聞社主催)を受賞。12年前に多久市から鎮西町に移り住み、動物を取り上げて書くことが増えたという。約40年を振り返り、「昔は突き放したような生意気な表現もあったけど、動物や人、植物にもどこかに温かさを持つようになった」と佐々木さん。今はヤモリをモチーフに次の作品を構想している。

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