九州新幹線長崎ルートの未着工区間(新鳥栖―武雄温泉)の整備方式を巡り、国土交通省は16日、スーパー特急やミニ新幹線などフル規格以外の整備方式も環境影響評価(アセスメント)を実施する「複数アセス」を佐賀県に提案した。アセスが完了する2、3年の間に整備方式の議論を進める案で、いずれの方式で結論が出ても速やかに着工するための対応とみられ、県に同意を求めている。複数の関係者への取材で分かった。

 県は5日、国交省が求めていた整備方式に関する「幅広い協議」に入った。国交省側はその場で「腰を据えて協議を進めるためのアイデアがある」と明かした。水嶋智鉄道局長が山口祥義知事に直接伝える意向を説明したが、県側が難色を示していた。

 関係者によると、複数アセス案がこの「アイデア」に当たる。スーパー特急▽フリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)▽リレー(対面乗り換え)▽ミニ新幹線▽フル規格―の5方式が想定されるが、中にはアセスが必要ないものもあるとみられる。

 整備新幹線で同じく未着工の北陸新幹線(敦賀-新大阪)は既にアセスに入っており、政府内には長崎ルートも一緒に財源確保を進めたい狙いがある。秋口が期限の政府予算の概算要求にアセス関連費用を盛り込めなければ、長崎ルート単独では財源確保が困難になるとの懸念がある。

 国交省は、アセス実施には佐賀県の合意が必要と明言しているため、今回の複数アセス案も県の同意が必要になる。

 整備方式に関して山口知事は「過去に合意していないフル規格とミニ新幹線は短時間では決められない」と述べている。国交省の提案は、整備方式に関して年単位の長期の議論になった場合でも、各方式で必要になるアセスを同時進行することで着工までの期間を短縮する意図がある。県側の反発も予想され、対応が注目される。

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