苦しそうな呼吸をしていたため保護したものの、間もなく死んだ猫。症状から何者かに蹴り上げられた可能性があるという

 猫の捨て場所になっている佐賀県西松浦郡有田町の山中で、虐待とみられる事案が相次いでいる。世話をしているグループによると、死んだケースのほか、骨折や刃物で切られたような傷を負った猫が見つかった。1日からは改正動物愛護法が施行され、虐待や遺棄には罰則が強化されるなど、抑止に向けた取り組みが進む。グループは虐待防止とともに、飼い主にその要因となる捨て猫をしないモラルある飼い方を求めている。

 有田町の山中には、駐車スペースや憩いの場があるため、以前から猫が捨てられている場所がある。世話をしているグループ「にゃんとなる会」によると、5月末時点で、捨てられたり、その猫たち同士で繁殖したりしたとみられる三十数匹がいるという。そのうち虐待の可能性がある猫が5月だけで3匹見つかった。

 1匹は顔や首、背中や前脚など身体のあちこちを、刃物のようなもので傷つけられていた。以前からいた猫ではないとみられるが、虐待され捨てられたか、捨てられた猫が虐待されたかは分かっていない。別の猫は、呼吸がおかしいため保護したが、間もなく死んだ。横隔膜が破れ、心臓と腸が癒着していたことが分かった。グループによると、別の場所で蹴り上げられる虐待を受けた猫と同じ病状だったという。もう1匹は骨盤を折っていた。

 現場は人が立ち寄る場所でもあり、元飼い猫やえさをもらって人慣れしている猫が虐待される恐れもある。そのため、野良猫を捕獲して避妊・去勢し、元の場所に戻して自然減させるTNR活動に東京で取り組んだ経験がある伊万里市出身の中村英理さん(62)らが、近隣市町のボランティアと5月上旬に会を立ち上げた。

 虐待については警察に相談。現場周辺のパトロールを強化してもらっている。また、行政の了承を得て、えさの食べ残しを持ち帰るなど環境を汚さない工夫をしながら世話をし、けがをしたり人慣れしていたりする十数匹を保護。里親を探すほか、避妊・去勢などに取り組んでいる。

 しかし、捨てられた猫同士で繁殖し、保護した猫も複数が妊娠していた。中村さんは「捨て猫をする限り、猫は増え続ける恐れがあり、保護しても切りがない。何の罪もない猫たちが、飼う側の勝手で過酷な環境を強いられ、犠牲になっている」とし、捨て猫をしないためにも、飼い主に避妊・去勢して飼うよう訴えている。手術代は市町が助成しているケースもある。

 同グループでは一緒に活動するメンバーも募っている。連絡先は活動に協力している有田町の動物愛護団体アニマルライブの岩崎ひろみさん、電話0955(25)8366。

このエントリーをはてなブックマークに追加