旧田代家西洋館の休館をお知らせする案内表示

 まだ安心には程遠いものの、国内ではようやく新型コロナウイルス騒動もひと山越えて、徐々に日常の暮らしを取り戻しつつある。ただ、かつての日常かと言えば、そう短絡的な話ではなく、これからがコロナ後の日常を探る新たな日々となることは間違いない。

 有田町では、現在、町有の文化財関連の展示施設だけでも、有田陶磁美術館や旧田代家西洋館をはじめ五つの施設を運営しており、やはり今回の騒動には日々翻弄(ほんろう)され続けてきたところである。

 全国で緊急事態宣言が解除されたことに伴い、博物館などの文化施設の休業要請も解除され、続々と各地の施設も再開されている。各業界のご多分に漏れず、日本博物館協会などから「博物館における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」が示されるなど、運営に当たってはさまざまな指針が提示されている。

 規模も違えば、展示資料の種類や置かれている状況も異なる全国の施設が、一律にガイドライン通りに運営できないことは当然である。しかも、実際には、資料の貸し出しや資料調査への対応、施設や所蔵備品などによって異なる適切な消毒・除菌方法をはじめ、指針には触れられない、いわば裏の悩みが多いのも事実なのである。

 一日も早く、心置きなく公開できる日々が訪れることを願うが、まだしばらくは、新しい運営方法を模索する日々が続きそうである。(有田町教育委員会学芸員・村上伸之)

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