岡山市が4月、自宅で受ける公的な介護サービスが足りないとして増加を求めた難病の男性(49)側に対し、同居する高校2年の娘(16)による介護で補うよう求めていたことが9日分かった。男性側は娘に過度な負担がかかると抗議。市は「『介護して』とは言っていない」と発言を修正し、サービス増加は一部を認めた。

 家族を世話する18歳未満の子どもは「ヤングケアラー」と呼ばれる。介護のため学業や就職が制約されるケースもあり、支援の強化が必要とされる。全国的に自治体が子どもにも介護を期待する傾向があり、専門家は対応改善を求めている。

 男性は全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の患者。手先や脚にまひがあって車いすを使い、夜間は呼吸器を付ける。食事やトイレ、入浴など生活全般で障害福祉や介護保険制度のサービスを利用。市内の自宅で娘と妻の介護も受け、3人で暮らす。

 男性側の支援者によると、男性はことし、症状進行も踏まえ、市にサービス拡充を要望。弁護士を通じ、夜間の見守り日数を増やすなど、常時ヘルパーが付き添えるよう求めてきた。弁護士は4月、市の可否判断が5月になる見通しとなったため「5月までどう過ごせばよいのか」と尋ねると、市職員は「妻と娘で対応してもらうしかない」と答えた。当時は新型コロナウイルス感染拡大によって高校は休校中だった。

 男性側は後日、娘の学業や生活への負担が大きいとして「娘に介護を期待しないでほしい」と反論。市は「火事など緊急時に通報してもらう趣旨だった」と釈明した。結局、5月にサービス増加の一部を認めた。

 岡山市は経緯に関する取材に「個人情報のため回答できない」とした。

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