葉隠研究会がまとめた教本を使い、ベナン・コトヌー市の「たけし日本語学校」で開く葉隠の特別授業について打ち合わせする教師たち(提供)

「葉隠」の一部を英訳した教本を掲げ、ベナンへの寄贈を喜ぶ葉隠研究会の中野啓会長=佐賀新聞社

 西アフリカのベナン共和国にある日本語学校で、佐賀藩士がまとめた武士道書「葉隠」を使った特別授業を開く取り組みが進んでいる。葉隠研究会(中野啓=あきら=会長、佐賀市)から学校に教本が届けられ、現地の教師が授業計画を立てている。葉隠の示す「人の道」が、海を越えて佐賀とベナンをつなぐ。

 学校は商業的首都であるコトヌー市にある。駐日ベナン大使でタレントとしても知られるゾマホン・ルフィンさんと、ベナンで活動するNPO法人「IFE(イフェ)」(東京)代表の山道昌幸さん(40)が2003年に設立し、同法人が運営している。学校名は「たけし日本語学校」で、ゾマホンさんが付き人をしていたビートたけしさんの名前を冠している。

 授業は同校の全学生を対象とし、一般の参加も受け付ける。武士や「葉隠」について、ベナンの文化と対比しながら学びを深める3単元を予定する。現在は新型コロナウイルスの影響で休校中で、7月の授業実施を目指している。

 学生時代、剣道を通じ「葉隠」も学んだ山道さんは学校設立の際、佐賀藩校・弘道館をモデルにしたという。「弘道館は身分に関係なく学ぶことができた。『たけし日本語学校』も無料で学べ、貧富を問わない。弘道館が輩出した初代文部卿・大木喬任のように、卒業生から文部大臣が出るのが夢」と山道さん。アフリカで電化事業を展開する川口スチール工業(鳥栖市)社長の川口信弘さんを通じて、葉隠研究会の教本を知り、川口さんが仲立ちして教本の提供が実現した。テキストは3月中、日本から帰国した留学生に30部を託し、無事学校に届いた。

 山道さんは「学生には自分のキャリアのことだけでなく、ベナンの将来を考えてほしい」と願い、「藩や民に尽くす武士道と共通する思い。その意義を伝え、ベナンで薄れつつある土着の価値観を再認識するきっかけにもしたい」と授業の狙いを語る。

 葉隠研究会は約10年前から海外に教本を寄贈する活動に取り組んでおり、昨年は英訳本も作成。中野会長は「ベナンの若者が葉隠に触れ、自国の在り方に目を向けるきっかけになれば」と期待した。

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