幕末の絵図に描かれた横土井(中央の緑色の部分)。右側の青い部分が牛津川。上が上流。(「松瀬、納所村」1854年 多久市郷土資料館蔵)

 納所地区(多久市東多久町)は牛津川(多久川)添いにあり、古来よりひんぱんに水害に見舞われていました。そこで築かれたのが横土井です。寛永年間(1624~1644)に、「佐賀の治水の神様」成富兵庫茂安(1560~1636)によって築かれたといわれています。

 牛津川の下流域には佐賀本藩の領地があり、横土井は本藩領を守るためのものでした。川の流れとほぼ直角になっており、上流からの水をせき止めて下流に流れないようなっています。しかしせき止められた水は上流にあふれ、上流の人々はさらなる水害に悩まされることになりました。それでも横土井はたびたび決壊し、補修が繰り返されていました。

 平成2年6月末~7月初めにかけて、梅雨前線の停滞による豪雨により、九州を中心に多くの河川が氾濫して大きな被害が出ました。横土井も決壊し、修復して保存するか、撤去するかで論争となります。横土井のところだけ県道が狭くなり、車が離合できず危険だったこともあって、平成7年、真ん中の10メートルほどと、川の堤防につながる部分だけを残して撤去されました。(志佐喜栄=多久市郷土資料館)

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