5月15日から店を再開させた「焼鳥大成」。常連客と談笑する船津丸大成さん=佐賀市松原

 新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、佐賀県が事業者に呼び掛けた休業要請が解除されて7日で1カ月がたった。県内で初の感染者が確認された3月以降、徐々に鈍る客足、約1カ月の初の長期休業、そして営業再開。先が見通せない中、再び歩み始めた佐賀市内の飲食店を訪ねた。

 炭火であぶられた鶏肉から、食欲を刺激する香りが漂う。6月最初の週末となった6日夕、今年30周年を迎えた「焼鳥大成」(佐賀市松原)は常連客が顔を見せていた。カウンターやテーブルには予約を示す札も並んだが、「だいぶ戻ってきたんじゃない?」との客の問い掛けに、店主の船津丸大成さん(55)は「まだ半分。飛び込みの客が全然いない」と苦笑した。

 感染リスクを考慮し、県の休業要請を待たずに4月11日から店を閉めた。「4月29日が30周年記念だったが、もうけのためにお客さんや従業員を危険にさらすことはできない」との思いからだった。休業中は国の持続化給付金などの申請を進めたりした。「補助金があったから、なんとか再開にこぎ着けられた」。5月15日から店を開けた。

 常連だという会社員の谷口隆さん(61)=佐賀市=は「できるだけ足を運ばないと」と再開後すぐに訪れたという。ただ、「おいは気にせんばってん、コロナを心配してる人もおんさんもんね」と感染拡大前のにぎわいを取り戻すには時間がかかるとみている。

 再開後、店には「予約したいが、新型コロナの対策はどうしていますか」という問い合わせもあった。薬剤で店内を消毒したり、席数を減らすなどしているが、「席ごとについたてを設けるとか、そこまではしきらん」と船津丸さん。営業を続けながら、折り合いを付けていくしかないと感じている。

 予約客以外が少なく、遅い時間の来店も減っており、再開後の一日当たりの売り上げは「コロナ前」の半分ほど。「心が折れそうになるが、うちはまだ良い方。酒屋さんに聞いたら『9割減ってる所もありますよ』と言っていた」。佐賀市の街中でも4月に閉めた店がいくつかあると聞いており、「『調理場の機材を売りたい』という相談もあっているようだ」と“仲間”の窮状に胸を痛める。

 今後はコロナ禍を受けて借り入れた資金の返済も待ち受ける。「本当は65歳で返済が終わるはずだった。あと20歳若かったらいいが…」。一方で、新たな収益の柱として、味自慢の一品をそろえるオンラインショップの開設も考えている。「ずっと行政が助けてくれる訳ではない。思いつく限りはやっていかないと」と前を向いた。

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