新型コロナウイルス対策を盛り込んだ2020年度第2次補正予算案の国会審議が、近く始まる。休業手当が払われない従業員への給付金や中小事業者への家賃補助など重要な施策がいくつもある一方で、前例のない10兆円もの巨額予備費が含まれるなど中身には問題が少なくない。

 一連のコロナ対策関連の事業では、中小事業者などを対象にした給付金の支給や観光需要の喚起策を巡り、多額の費用をかけた不透明な外部委託の問題も浮上している。

 本来であれば、これらの問題点を国会でつまびらかにし、予算案を修正したりすべきだろう。

 しかし、春先からのコロナ禍とその後の緊急事態宣言で多くの勤労者や事業者が苦境に陥り、一日も早い支援を求めている。倒産・廃業や失業が顕在化しており、補正予算の早期成立と執行は極めて重要である。

 その点を考慮した上で政府は、予備費が関連性の薄い施策に使われないためや、外部委託の透明性を確保するための「歯止め」を具体的に示すべきだ。そのような政府の誠実な姿勢がなければ野党や国民の理解を得るのは難しい。

 予備費は、自然災害などにより「予見し難い予算の不足」が生じた時のための資金で、憲法87条に認められている。内閣の判断で使えるが、事後的に国会の承諾を得なければならない。歳出入に国会のチェックを不可欠とする「財政民主主義」においてはあくまで例外の位置付けであり、近年の予算では3500億~5千億円程度だった。

 しかし20年度は当初予算で5千億円、1次補正に1兆5千億円が確保された上に、2次補正案では過去最大の10兆円が盛り込まれた。2次補正案の総額約31兆9千億円の実に3分の1を占める異例な大きさである。

 安倍晋三首相はこの点を問われ「(コロナ対策に)万全を期すため」「緊急を要する経費に限る」と説明したが、これでは不十分だ。いったん国会を通過すれば内閣の自由裁量で使える点に変わりはないからだ。

 与野党はその後、5兆円分については雇用維持や医療提供体制の強化に使途を確定することで合意した。一歩前進だが十分な歯止めとは言えない。国会審議を通じてさらなる明確化を求めたい。

 外部委託では、事業者に最大200万円を支給する「持続化給付金」を巡り、業務を769億円で受託した団体が、ほとんどそのまま電通に業務を再委託していたことが分かった。

 この団体は設立以降、法律が定めた決算公告をしていないなど実体の乏しさが指摘される。梶山弘志経済産業相は、給付金の確実な支給のためと説明するが、多額の国費を投じる業務でありながら不透明さはぬぐえない。

 さらに、1次補正で約1兆7千億円の予算を確保した観光業者らへの支援「Go To キャンペーン」では、事務委託経費として3千億円もの巨費を見込んでいることが明らかになった。

 赤羽一嘉国土交通相は「可能な限り縮小する」と委託費を圧縮する考えを強調したが、ここでも国民が納得できる透明性と明確な歯止めが必要だろう。

 コロナ危機へは十分かつ迅速な対応が欠かせないが、予算は国民のお金である。説得力に乏しい、ずさんな使い方が許されてはならない。(共同通信・高橋潤)

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