暗号資産(仮想通貨)交換会社「ビットフライヤー」のトップに就任した三根公博氏(同社提供)

 暗号資産(仮想通貨)交換会社最大手の「ビットフライヤー」(東京都港区)の代表取締役に、嬉野市出身の三根公博氏(51)が就任した。暗号資産は投資対象としての意味合いが強くなっているが、新型コロナウイルスの感染拡大で、世界単位での自由な送金決済の実現という本来の存在意義が見直される可能性もある。就任への思いや業界の展望を聞いた。

 

 -暗号資産(仮想通貨)交換所最大手のトップに就いた。

 いまは仮想通貨業界の秩序が形成されていく過程の、いわば“戦国時代”。そういう時期にチャンスがくればつかむしかないと思い、引き受けた。

 -どのような事業を展開しているのか。

 大きくは販売所と取引所を手がけている。販売所は仮想通貨を客から買ったり、客に売ったりするところで、街の外貨両替店のようなイメージ。取引所は仮想通貨を買いたい人、売りたい人をマッチングする、証券取引所のようなところだと思ってもらえればいい。「ビットコイン」での決済サービスも展開している。日本、アメリカ、ヨーロッパの世界3拠点で各地域の当局から仮想通貨ビジネスのライセンスを受けているのは、世界で当社だけだ。

 -証券業界との違いは。

 証券は安定的な資産形成の手段として認知されているが、仮想通貨はまだそれほど認知されていない。テクノロジー的にも成長過程にある。非営業日がないのも大きな違いで、24時間365日マーケットが動いている。大変な点ではあるが、非常に面白い点でもある。

 -仮想通貨を巡っては、国内でもハッキングによる資産流出などが発生した。マネーロンダリング(資金洗浄)などのリスクもあり、どう課題と向き合うのか。

 懸念を克服し、信頼を醸成しないと、この業界に未来はないと思っている。安全性は交換所ビジネスの最重要課題で、人的・物的資源の投下に手を抜くことはない。資金洗浄については、送り手と受け手の情報を正しく確認するための「トラベル・ルール」という新しい基準が示された。具体的な方法については自主規制団体が規制当局とともに知恵を絞っていく。

 -新型コロナウイルスが世界的に流行する中、仮想通貨が果たす役割をどう捉えているのか。

 コロナ禍で緩やかな時代の変化が激流になったと感じている。社会の仕組みが一気にオンライン化して、リモートワークも爆発的に増えた。通勤することや店舗を持つことの意味が、日本だけでなく、世界で一斉に変わっている。

 仮想通貨は値動きが激しく、現在は投資目的で多くの人が利用しているのが客観的な事実だ。しかし、後に“コロナショック”と呼ばれるであろう今回の経済危機で、価値や記録、証明をオンライン化するという仮想通貨の使命、存在意義が見直され、利用が一気に進む可能性はある。世の中が変わる日はすぐそこまで来ているのではないか。

 -佐賀への思いと、若い世代へのメッセージを。

 私が旧嬉野町出身ということもあり、県内もコロナ禍で観光業を中心に大きな打撃を受けていることに心を痛めている。個人的には、力になれることがあればぜひ協力したいと思う。若い世代は変化を恐れるのではなく、変化を楽しみ、適応力を養うことを大事にしてほしい。未来は変えられるという強い思いを抱いて、激動の時代を生き抜いてもらいたい。

 

 みね・きみひろ 1968年嬉野市生まれ。鹿島高、一橋大法学部卒。日本興業銀行、松井証券取締役、SBIイー・トレード証券執行役員、ソニーバンク証券取締役などを経て、2019年3月にビットフライヤーに入り、20年3月末から現職。ネット証券業界のコンプライアンス体制やルール策定に関わるなど、金融業界に精通する。東京都。

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