パワハラ6類型・該当する事例と該当しない事例

 大企業にパワハラ防止対策を義務付けた女性活躍・ハラスメント規制法が6月1日に施行された。具体的な対策の内容や何がパワハラに当たるかを示した指針も初めて作成された。しかし、指針に盛り込まれた事例には曖昧さの残る表現も多く、業務指導とパワハラの線引きが大きな課題となりそうだ。

 同法では、パワハラを「優越的な関係を背景とした言動であり、業務上必要かつ相当な範囲を超えたもので労働者の就業環境が害されるもの」と定義した。指針では身体的な攻撃や精神的な攻撃、人間関係の切り離しなど6類型に分けて、類型ごとに事例を示した。

 ただ、該当しない事例も盛り込まれ、業務上の指導だとの反論を許す余地が残っていると指摘される。例えば「精神的な攻撃」では「社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意しても改善されない労働者を一定程度強く注意すること」は“セーフ”だ。一定程度がどの程度か明確ではなく、当事者に恣意(しい)的な判断を許す。

 また「過小な要求」の類型では「労働者の能力に応じ、一定程度業務内容や業務量を軽減すること」も容認される。ケースによっては全く業務を与えなくても不問に付される恐れがある。また「人間関係からの切り離し」では、新規採用者や懲戒処分を受けた人に対する一時的な「別室での研修」はパワハラには該当しない。本人が苦痛かどうかにかかわらず、指導として認める形だ。

 労働問題に詳しい専門家は「企業が一番気になる部分が抽象的な指針で、何が良くて何が悪いのか明確でない」と指摘。その上で「パワハラを巡る裁判は数多くある。今後、判決を分析するなどし、パワハラと指導の境界をできる限り詳細に指針に示すべきだ」と話した。

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