鳥栖市真木町に次期ごみ処理施設の建設を予定している県東部環境施設組合(2市3町、管理者・橋本康志鳥栖市長)は5月18日の首長会で建設・運営業者を決定した。計画中に予定地から有害物質が検出され、浸水想定リスクが上がるなど紆余曲折を経てきたが、8月の組合議会で工事の議決を得れば実施設計に入り、着工する。ただ、業者決定後の組合全員協議会では構成市町の議員から「説明不足」とする首長ら組合執行部への強い不満や、依然として建設予定地への不安の声が上がった。組合執行部はこうした声に真しん摯しに耳を傾け、住民の不安に対応できる施設づくりに努めてほしい。

 施設を巡っては今年3月、神埼市と神埼郡吉野ヶ里町の両議会が「水害リスク」があるとして候補地の再選定を求める決議を行い、質問書のやりとりをした。ただ、吉野ヶ里町の議員はこれまでさまざまな疑問を投げ掛けても同様の回答しかなく、「あまりにも言葉が足りない」と対応を批判。強い決意をもって組合脱退時の対応も尋ねたが、「想定していない」と回答した組合側に不信感を示した。一方、組合執行部は「毎日出るごみの適正な処理はわれわれの使命。責任ある議会の立場を考えれば脱退は想定されず、ともに住民生活を守ろうという思いだった」と真意を説明した。このやりとりからも、組合内部の説明や意思疎通不足が、不信感や疑念を生んでいる現状がうかがえた。

 鳥栖市、みやき町、上峰町は、現施設の耐用年数や地元住民との設置期限の約束から、新施設の2024年度稼働を大前提にしてきた。“先を急ぐ”3市町に対し、神埼市と吉野ヶ里町は計画に後から加わり、当初の議論内容が分かりづらい事情もあるのに納得のいく説明が得られずにきたようだ。次期ごみ処理施設は、建設費と完成後30年間の運営費を合わせ総事業費415億円の一大事業。「説明不足」のままでは前に進めないのが当然だろう。組合内で十分な説明と情報共有が必要だ。

 入札には日立造船と神鋼環境ソリューションという二つの企業グループが参加し、学識者と副首長の選定委員会が項目ごとに点数をつけ、総合点で評価した。落札した日立造船は安全・安定性や環境面など多くの項目で得点が高かったが、住民が最も懸念する災害対応は神鋼環境が高かった。予定地は洪水ハザードマップで3~5メートル未満の浸水が想定され、その対策が重要になる。両グループとも施設本体を守る浸水対策を盛り込んだが、神鋼環境は盛り土の方法や、災害時の避難収容人数の多さが高評価につながったという。

 組合事務局によると、現時点の提案はいわばアウトラインで、実施設計の中でよりよい方策を落札業者と協議し、盛り込むことが可能という。全員協議会ではこうした機会を生かして「周辺住民の不安払拭に全力を注ごう」という意見も出た。施設を巡っては、3日~1週間続くとされる周辺の浸水予想など、残された課題や不安も多い。率直に意見を出し合い、最善の策を探ってほしい。

 組合は今後、リサイクル施設の建設に伴う用地選定や住民との交渉が控えている。次期ごみ処理施設と併せ、十分な情報共有と議論を踏まえて取り組んでほしい。(樋渡光憲)

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