20年ほど前、ある町の教育長と禁煙の話になった。筆者は当時、1日1箱のヘビースモーカー。元中学校の教師だったその教育長も、若い頃は1日2箱吸っていたという◆禁煙できた理由を尋ねると、休み時間にたばこを吸った生徒を叱っていたら、「先生はたばこを吸うから、先生の授業前ならばれないと思った」との言葉が返ってきた。「これはいけないと思ってね」。以後、きっぱりとたばこをやめたそうだ。生徒を思っての禁煙に、さすがは元教師と感心した◆喫煙は「百害あって一利なし」といわれる。健康増進法の改正で本年度から、不特定多数が利用する施設は原則禁煙になった◆食後や一仕事片づけた後の一服はうまい。価格が上がり、喫煙所がどんどん少なくなっても禁煙は考えたこともなかったが、3人目の子どもが女の子と分かった時、上の2人の時は全く思わなかったのに、「産み月までにたばこをやめよう」と決意した。時間をかけて最後の1本を吸った後、「この世にもう、たばこは存在しない」と自分に言い聞かせた◆夢の中で禁煙に失敗したことは何度もあったが、もうそんな夢も見なくなった。筆者の禁煙は、8月で15年になる。誰かを思うことでその人の意志は強くなる、と思う。愛煙家に禁煙を勧めるつもりはないが、きょう5月31日は世界禁煙デー。(義)

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