コロナの影響で暇があるためか、都内に暮らす息子が先日、東京駅まで自転車で出かけたという。掛かった時間は2時間弱。電車で20分足らず、駅にして七つの距離だが、自力で動けばそうなるだろう。当たり前だが、この距離で自転車での通勤、通学は難しい。

 首都圏の人口は3500万人を超し、世界最大の都市圏。人、モノ、情報が集約され、便利なことこの上ない。ただ、今回のコロナ禍で、数分おきに次々、満員の電車が走ることを前提として成り立つ都市のありようが問われた。

 「幸い、農業は3密とは無関係ですから、助かっている」。取材先で、多くの生産者からこんな言葉を聞いた。麦刈りの写真を撮りに出かけたら、黄金色に輝く穂波の中にトラクターが一台。この風景だけみたら、コロナなんてどこ吹く風という感じ。むしろ、季節が順当に巡れば確実に実りをもたらす自然の偉大さに勇気づけられる。感染症の防止という視点で見たら、過疎の農村ほど強いものはないかもしれない。

 首都圏の緊急事態宣言も解除されたが、「出社するには満員電車しかない」状況への逆戻りはできず、リモートワークが進むだろう。出社は週に1日-などとなれば、会社の近くに住む必要性も薄れる。そうなると、欧州のような幸せな“都市と農村の結婚”も実現するかもしれない。

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