新型コロナウイルス感染症に関連して、医療従事者や配送業者などへの偏見や差別があると聞きます。背景には新しいウイルスに対する不安や恐怖があるようです。日本赤十字社の「ウイルスの次にやってくるもの」という動画にあるように、いまは誰もが不安で世界中が恐怖に支配されそうになっています。

 差別、偏見が起こると、ひとが傷つきます。すると、その地域でその方たちが担っている私たちの生活に欠かすことのできない医療や物流の質が低下します。自分で自分の地域の首を絞めているのです。地域社会としてもそのデメリットを十分理解して、こういう行為はよくない、やめていこうと強く意識し、声を掛け合うことが必要です。

 また私たち一人一人も、恐怖は誰の心の中にもあると理解し、自分の行動や言動が理性的な対応であるか、恐怖の裏返しではないか、確認が必要です。感染者、濃厚接触者については行政にしっかり対応していただき、それ以外の人を職業によって詮索、差別するのは勇敢に慎みましょう。

 いまは社会活動をしながら感染拡大を防いでいく段階です。感染の芽を早く見つけ、摘んでいかなければなりません。感染者を責める社会では、自分が感染したらどういう扱いを受けるだろうと不安になり、みんなが具合の悪さを隠すようになって発見が遅れます。感染者を責めないことが、見えないウイルスを見つけることにつながります。後ろではなく、前を向きましょう。

 これまでに分かっている有効な対処方法を生活の中になじませて、ウイルスとの付き合い方を学んでいきましょう。具合が悪いときは遠慮せずに休む。周りも早めに休むことは大事だよね、と肯定する。マスクをする。手や顔を洗う。ひととの距離をとる(でも心は寄り添っていく)。換気をする。今年は熱中症や大雨の対策もより重要です。

 これから恐怖に負けない、感染に強い、住みやすい佐賀にしていくために、それぞれの場所でできることをすることで、気持ちがつながっていけたらいいなと思っています。(佐賀市 すこやか女性クリニック院長 西岡智子)

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