葉物野菜などの栽培を手掛ける「しろいし農業塾」1期生の矢頭哲文さん=白石町築切

 【2015年8月3日の記事】杵島郡白石町は、県外から町内に移住し就農を希望する人を研修生として受け入れる「しろいし農業塾」を10月から始める。20~40代を対象に6人を募集、月額17万円の賃金のほか家賃を補助し、軽トラックも貸与する手厚い支援策を用意する。

 

 県外からの就農希望者を研修生として受け入れ、定住者の増加や新規就農者の確保を目指す「しろいし農業塾」が、制度開始から5年目を迎えようとしている。現在、3期生(19年4月入塾)の3人が学ぶ。これまで計7人が入塾し、卒業後は全て町内に定住している。

 1期生4人のうちの1人で、夫婦で移住した矢頭哲文さん(41)=大阪府出身=は現在、約2・5ヘクタールの農地でキャベツやレタス、米、レンコンなどを栽培する。元々、会社員で転勤が多かったという矢頭さんは「妻の実家と近いこともあり、移住を決めた。家族との時間も取れるようになった」と実感する。一方で「収入はまだまだ厳しい」という現状も。「農機具の購入や土地の確保は苦労した。地域の人の助けがなければできなかった」と振り返る。

 塾は、農家の高齢化に伴い地域の担い手を確保しようと2015年10月から始まった。2年間、賃金を得ながら就農に必要な知識を学び、家賃も補助される。研修段階でこれほど手厚い支援は珍しく、注目されていた。単身で塾に入って就農後に結婚したり、夫婦で学んで子どもを授かったりするなど定住につながっているという。昨年度までで塾生と、その家族を含めた定住者は計22人を数える。

 課題もあった。当初は期間を1年間と定めていたが、作物の知識や農作業の習熟度が不十分だったため、2期目(17年4月入塾)からは2年間に変更した。また、作付けする作物が選べたため、作物によっては大規模な農地が必要になったり、農機具の初期投資がかさんだりしたという。このため、経営規模に合った農地の確保や農地と隣接する住宅の確保なども課題となっていた。

 こうした背景から、町は7月から募集を開始する4期生の募集要項を変更した。高収益が見込めるイチゴに絞り、塾生として「白石地区いちごトレーニングファーム」で学ぶことにした。これに伴い、町内外から新規就農者が入るトレーニングファーム生との不公平感を是正するため、月給17万円の支給は廃止し、国の支援金を活用する方針に切り替えた。家賃補助などは続ける。

 町は5期生までに計20人の就農を目指す。本年度は事業費として1334万3千円を計上している。町農業振興課は「順調に成果が出ている」と受け止めつつ、「農業を通じて、地域活動にも関わっていく人材になれば」と期待している。

 あの時話題になったあのこと、あの人は…。以前に掲載した記事の「その後」をリポートします。随時掲載。

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