宇木公民館講堂

 今回、取り上げるのは大林宜彦監督にゆかりの建物。映画『花筐/HANAGATAMI』の冒頭シーンのロケ地・宇木公民館です。宇木は初代唐津藩主・寺沢志摩守広高の嫡男で若くして亡くなった忠晴の墓が守られ、今でも法要が行われている地です。

 宇木公民館は昭和46年に廃校になるまで宇木小学校の校舎と講堂として使われていました。講堂には今も明治期からの卒業生の写真が展示されています。

 戦時中、小学生だった宇木の手島真四郎さんによると、校舎は一時期、兵舎として使われていました。子どもたちは近くのお堂などを転々として学び、米作りに駆り出されていたそうです。

 戦後、校庭を広げ、学舎を増築することになりました。村にあった東松浦郡一といわれた楠の大木を売って建設資金の一部にしたそうです。村人総出で裏の山からトロッコで土を運んで田を埋め、石を切り出して土ど留どめとしました。まずは講堂を建て、宝満神社の近くにあった校舎を曳家して増築部分を加えました。

 講堂は淡いペールグリーンの下見板張。正面には丸窓がリズミカルに作られていて、今でも何とも楽しい気持ちになります。演台の丸柱から漆喰天井の中心部の飾りの細工に至るまで丁寧な仕上がりで、設計まで手掛けた当時の手島繁松棟梁のセンスと左官の技術の高さが偲ばれます。

 竣工を記念して植えられたという桜の木。天に還かえられた大林監督の御許にも花びらが届いていますように。(NPOからつヘリテージ機構 文・菊池典子 絵・菊池郁夫)

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