球技には、サッカーやラグビーのように、決められた時間内にどちらが多く得点するかを競うものと、テニスやバレー、卓球のように、決められた得点に、どちらが早く到達するかを競うものがある。象徴する言葉に、前者にはタイムアップがあり、後者にはマッチポイントがある◆作家の宮本輝さんは大学時代、テニスに打ち込んだ。ひたすらテニスボールを追いかけた4年間と、みずみずしい青春の恋模様を描いた『青が散る』に、テニスの魅力が描かれている。たとえば、マッチポイントまでの長い道のりの中に訪れる「キングスポイント」。どの1点も大切だが、キングスポイントは試合全体の流れやリズムを決めるポイントだ。観戦側にもその大切さが伝わってきて、手に汗を握る◆スポーツに限らず、何かを犠牲にして打ち込んだものを持ち、勝つことの難しさや負けることのつらさ、苦しさを知っている人は人生においても強いと思う◆県中体連の方針がきのう発表された。県中学総体は中止になったが、地区大会や代替大会は検討されている。子どもの頑張りを見てきた保護者も望みを託しているだろう◆団体競技は気持ちが一つにまとまらないと、簡単には勝てない。キングスポイントを迎えた時、頼りになるのは練習で培った自信だ。大会に備え、文武両道で頑張ってほしい。(義)

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