鍋島元茂書状(小城市立歴史資料館展示中)

 小城藩初代藩主鍋島元茂が、少年期に祖母を心配して出した手紙を紹介したい。元茂は、佐賀藩初代藩主鍋島勝茂の長男として慶長7(1602)年に生まれた。鍋島直茂・芳林(陽泰院)夫妻は、孫の元茂を殊の外かわいがったという。慶長19年からは江戸に住み、徳川家と佐賀藩の間を取り持つ役を担っていた。柳生宗矩のもとで新陰流に励み、後に三代将軍となる徳川家光の剣術稽古役を務めた。領地と家臣を直茂・勝茂から譲り受け、小城藩の基礎を築いた人物である。

 この手紙は、江戸から佐賀の家臣宛てに出されたもので「芳林様が濡れた床に倒れて腰を打ち、わずらっているところ、あなたが看病していると聞いています。ご老体のことですので、万事心掛けをしてください。芳林様から言われなくても私から頼まれていると言って、手当・脈・薬の世話をお願いします」と遠く離れた祖母への看病の礼を述べ、今後の世話を重ねて頼んでいる。

 元和4(1618)年のものと考えられ、当時元茂は17歳、芳林は78歳になる。「芳林から言われなくてもすすんで、世話をするように」と念を押しているところに、元茂の細やかな心配りがうかがえる。

 離れて住む家族を思いやる気持ちは、400年前も今も変わらない、と改めて感じられる。(小城市教育委員会文化課・田久保佳寛)

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