9月入学に来秋移行する場合のパターン

 文部科学省がまとめた主な課題

 新型コロナウイルスの感染拡大による休校長期化を踏まえ、導入是非が検討されている9月入学制について、文部科学省が主要な課題をまとめたことが17日、関係者への取材で分かった。来秋から実施した場合、新小学1年生は前後の学年に比べて1・4倍の140万人になると想定。将来的に入試や就職が「狭き門」となる。このほか、中高・大学など全学年の卒業が遅れ、企業が人手不足に陥る恐れがあると指摘した。

 影響は社会全体に及び、学校教育法の他、子ども向けの支援を含む生活保護法など、改正が必要な法律は少なくとも33本に上ることも判明。社会全体の変革が求められ、大きな財政支出が伴うことが分かった。今後の議論に影響を与えそうだ。文科省が他省庁からも意見を募り、課題を洗い出した。

 導入初年度に9月入学へ全面移行した場合、新小1は来年4月に入るはずだった約100万人と、再来年4月に入学予定だった子どもの一部約40万人。新小1以外の小中高、大学などの在校生は学年の在籍期間が延びる。

 厚生労働省は来年4~8月、小学校入学を待ち、保育園に在籍する子どもは約50万人に上ると試算。放課後児童クラブ(学童)で預かる子どもが約20万人増えるとした。

 文科省の資料は、学校などのスペースや教員、保育士が不足し、新たに入園予定の幼児が待機児童となる恐れがあると指摘。これらを避けるため、入園・卒園・入学の時期を1カ月ずつずらし、5年かけて9月入学への完全移行を目指す案なども示した。

 学校の卒業時期と4月の入社シーズンがずれることから、複数の省庁が、就職への影響を課題に挙げた。人事院や総務省は公務員の欠員を懸念し、厚労省は医療従事者の資格取得や臨床研修開始が遅れ、スタッフの欠員が生じる恐れがあるとした。

 移行によって、追加の教育費用がかかり、社会に出るのが遅れて生涯の収入が減る可能性もある。保護者らから国への補償を求める声が上がることも想定している。

 就学の有無で支給額が変わる児童手当など、公的支援制度の改正も必須となり、各省庁は大規模なシステム改修を迫られる。法務省は16歳に達すると刑事施設に移送しなければならない少年院収容者の扱いを課題に挙げた。サクラの季節に合わせた着物やはかまによる卒業式・入学式といった文化が損なわれる可能性も指摘されている。【共同】

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