新型コロナウイルス感染拡大防止のため、高校生アスリートの祭典・佐賀県高校総体が11日、史上初めて中止となった。佐賀新聞社が12日から3日間実施した高校生への緊急ウェブアンケートには、部活動に打ち込んできた3年生ら約200人が回答し、集大成の場が失われた悲痛な思いや代替大会を求める声などさまざまな思いを寄せた。

 

 大会の中止については、7割近くが「残念」と受け止めた。バドミントン部の女子生徒は「いろんな人に今までの感謝を、試合を通じて見せたかった。最後どんな結果であれ、みんなで笑顔で終わりたかった」。有田町の男子サッカー部員は「3年間を部活にささげてきた。ただ勝つために。仕方ないで終われるはずない」と落胆。「この経験は今後の人生に生きるからとか、無駄な努力はないとか、そんな言葉はいらない」と率直な思いをつづった。

 一方で、3割近くは中止を「仕方ない」と捉えた。唐津市の女子バレーボール部員は「今までの努力が無駄になってしまう」とした上で、「それよりも自分や周りの人の命の方が大事」。進学校に通う佐賀市内の女子生徒は「延期にされて受験勉強に影響が出るよりも、早めに中止をはっきり決断していただいてよかった」と気持ちを切り替えていた。

 

 ■無観客でも

 県高校総体の代替大会については、7割弱が実施を希望し、3割強が「必要ない」と回答した。

 佐賀市内の女子バスケットボール部員は「代わりの大会をしないと今までの頑張りや努力が無駄になる。高校3年生は一生に一度。最後に(試合を)させてほしい」。同市内の女子サッカー部員も「自分の青春をささげて努力してきた人がたくさんいる。無観客でもいいから、どうにかしてでも、みんなの大会を用意してほしい」と願った。

 「必要ない」と答えた生徒は、理由として受験勉強など学業を挙げたケースが多かった。佐賀市の男子バスケットボール部員は、大学受験に向けて気持ちを切り替えたいとする一方、「代替大会があれば残りたい気持ちはどうしても出てしまう。だから可能性すらきっぱり否定してほしい。中途半端は一番迷惑」と早期の判断を求めた。

 

 ■「理屈じゃない」

 「今感じていることや部活動への思い」を自由筆記する項目には、長短さまざまな意見が書き込まれた。

 唐津市の女子生徒は「私たち学生は休校となり、自宅学習でしっかり過ごした。全部は県総体のために」と強調し、「(自粛を我慢できない)一部の非常識な大人にガッカリしている」と怒りをぶつけた。鹿島市の女子生徒は「最後の高校生活がめちゃくちゃで泣きそう。3年生を最初からやり直したい」と訴えた。

 勉強とスポーツの両立に必死に取り組んできたという佐賀市の女子テニス部員は「今までやってきたことは決して無駄ではない、必ず自分自身の糧になっている、命は何よりも大切」といった言葉を受け入れようとしつつも、「理屈じゃなく、心は簡単ではない。失ったことは事実だから」と苦しい胸の内を明かした。

 

【記者の目】代替大会判断早期に示して

 寄せられたウェブアンケートの一つ一つに目を通し、高校生の思いに触れ、胸が締め付けられた。部活動の集大成、そして仲間との一生の思い出になるはずだった高校総体を、新型コロナウイルスに奪われた3年生に対しては掛ける言葉が見つからない。

 県内の緊急事態宣言は解除されたものの、収束は依然見通せない。アンケートでは総体の代替大会を望む声が多かったが、全国高体連が開催の条件に挙げた「安全に部活動ができる状況」の見極めや、日程の確保など解決すべき課題は多い。1カ月に及んだ休校の影響もあり、練習不足によるけがの懸念もある。

 身近で努力を見守ってきた指導者や保護者からも、3年生が成果を発表する場を求める声は多い。一方でアンケートでは、部活動に区切りをつけ、進学や就職に向けて懸命に気持ちを切り替えようとする生徒の意見も少なくなかった。

 県立学校では?日から部活動が再開された。3年生は引退の時期を迷いながら、部活動に取り組んでいることだろう。代替大会については現在、学校関係者による開催可否の検討が続いている。判断が難しい状況ではあるが、できるだけ早期に方向性を示すことが必要だ。(山口源貴)

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