新型コロナウイルスの感染拡大で収入や売り上げが減少した事業所や住民を対象にした、佐賀県内の市町の独自支援策が出そろった。国や県の施策に沿う形から、地域事情を考慮したものまで多様な内容になっている。ただ、収束には時間がかかりそうで長期戦は避けられない。さらなる支援や感染拡大対応の準備は怠れない。

 感染拡大の影響は深刻だ。全国的な行動自粛は飲食店などのサービス業を中心に大打撃を与えた上、国の緊急事態宣言に伴う休業要請もあった。要請に応じた事業所は、収入がないのに家賃や給与は支払わなければならない。地方自治体の支援策はそうした事業所への支援を中心に始まった。

 県内で早い時期に支援策を打ち出した武雄市は、国の持続化給付金に沿う支援策だった。4月20日に最大で15万~30万円を給付する内容を発表。「国の給付までにリタイアしかねない事業所もある。つなぎ資金になるようスピード感を持って対応したい」という目的通り、4月中に給付を始めることができた。同様の策が続いたが、後発の市町では支援対象を国の「収入が前年比50%以上減」から「20%以上」に拡充したところも多かった。急増しているテイクアウトに対して、料金や経費を補助する支援策も目立っている。

 主要産業を支えるなど地域の実情を勘案した施策も多い。唐津市は宿泊業者への支援金、漁業者への燃料費補助、佐賀牛販促策を考え、西松浦郡有田町はウェブ陶器市の送料を負担した。藤津郡太良町や嬉野市、武雄市は住民が地域の宿泊施設を利用する際の料金補助を打ち出した。こうした支援は当該業界だけでなく関連業界まで支えることにつながる。

 コロナ禍はパートやアルバイトの就業時間短縮や一時休止など、個人の暮らしにも影を落としている。対策として条件なしで住民に一律給付する策も目立つ。杵島郡大町町は全町民に1万円を給付、同郡白石町は小中学生の本年度の給食費を無償化する。神埼市や小城市、伊万里市などは商品券や食事券、クーポン券を発行する。

 支援策を打ち出す市町の悩みは財源だ。多くは財政調整基金やふるさと納税基金などの“貯金”を取り崩しているが、財政難のため5月1日の国の臨時交付金内示を待った自治体もある。財政健全度を示す実質公債費比率が県内ワーストの伊万里市は、近年多発する災害対応などを考慮して財政調整基金の使用を見送った。市町で支援策の実施時期や内容が異なる背景にはそうした事情もある。今後の支援策にも影響してくる。

 コロナ禍による暮らしや経済への影響は、これからさらに表出してくるだろう。企業の業績悪化にとどまらず倒産や失業の増加も危惧される。新たな支援策が不可欠になる。社会的に弱い立場の人たちへの目配りも欠かせない。国が支援拡充を図るべきだが、地元の実情を知る地方自治体の役割も大きい。

 県内市町は経済的な支援策だけでなく、さらなる感染拡大や第2波に備えた医療や検査体制の充実、オンライン教育対応なども急ぐ必要がある。雨期を控え、コロナを勘案した災害対応も求められる。感染拡大防止と地域経済対策の両面をにらみながら、的確かつ迅速に対応したい。(小野靖久)

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