安倍晋三首相は、新型コロナウイルスの感染まん延に伴う追加経済対策を盛り込んだ2020年度第2次補正予算案の編成を指示した。休業手当を補う雇用調整助成金の拡充をはじめ、事業者への家賃支援、学生への援助などが柱となる。全国への緊急事態宣言が1カ月余に及んだことで事態は深刻化しており、迅速な実行を最優先に取り組んでもらいたい。

 政府は4月、緊急事態宣言に合わせて経済対策をまとめ、財源となる総額26兆円弱の第1次補正予算を月末に成立させたばかり。

 しかし内容は、国民一律10万円の現金給付や中小企業などへの最大200万円の給付金が中心で、雇用の安全網や飲食店などを対象にした家賃負担の軽減策は不十分にとどまっていた。

 追加対策の柱はまず雇用調整助成金の拡充で、休業手当の国による補塡(ほてん)額の上限を1人日額8330円から1万5千円へ引き上げる。

 従業員を休ませた企業が雇用を守って休業手当を払う際、国が費用を補塡するのが同助成制度。休業要請を受けた企業と労働者が長期化するコロナ禍を乗り切るには助成が低額と批判があり、特例を設ける。

 ただ、助成金は企業が申請し、手続きが煩雑で時間もかかる難点がある。申請を避ければ労働者には届かない。給付増を絵に描いた餅にしないために、国は制度を簡素化し、実効性を上げる改革を直ちに進めてほしい。

 政府は、勤め先から休業手当が支払われないパートを含む労働者への新たな給付金もつくる。これは「今回は国からの休業要請であり責任はない」として手当を払わない企業があるためで、休業者の直接申請により迅速な支給に有効だ。公平性のため、この給付金額も雇用調整助成金と同レベルとすべきである。

 もう一つの柱が事業者への家賃支援だ。休業で売り上げが落ちても店舗の賃料は毎月払う必要があるため、事態の長期化で全国的に支援を求める声が高まっていた。

 与党は、1カ月50万円を上限に家賃の3分の2を半年助成する案をまとめ、独自の支援を実施する地方自治体への財政援助と合わせて政府へ実現を求めた。野党は、政府系金融機関が家賃を一時肩代わりする法案を共同で国会へ提出済みだ。

 今後は政府による制度設計が具体化するが、支援のスピードが重視される中で、所管する国土交通省は既存の制度でも可能な軽減策がないか、もっと知恵を絞るべきだ。

 例えば不動産取引の現場では、小規模であれば家主が政府から給付金を受け、その分を家賃の減額に充てる案などが議論されている。与党案はいったん金融機関から融資を受ける想定となっており、借り主側の抵抗感が強いとされる。

 ここで求められるのは家主と借り主の「痛み分け」の精神だ。この不況下で店子たなこが退去すれば、すぐには埋まらず、家主にも打撃だからだ。

 アルバイト先の休業などで学費や生活費のための収入が大幅に減少した学生への支援も緊急を要する。

 政府は、1人当たり10万~20万円を給付する方針だ。だがこの額で修学継続に足りるかや、支給対象の線引きが懸念される。大学や公的団体が実施する支援策の応援など、多角的な対策をなお追求する必要がある。(共同通信・古口健二、高橋潤)

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