5歳のB君がお母さんとやってきました。「毎日のように夕方になると“じんましん”ができてかゆがります」と携帯の写真を見せてくれました。少し盛り上がった赤い発疹(膨疹といいます)が散在し、一部は融合して地図のようになっています。典型的な“じんましん”で、多くの人はアレルギーが原因と思っているようです。たしかに食物アレルギーで見られる最も多い症状のひとつですし、ネコやイヌなどの動物アレルギーでもよく見られます。しかし、実は原因になるアレルゲンが見つからないことが多いのです。入浴による温熱刺激、クーラーの冷たい風による寒冷刺激、日光刺激、手提げバッグなどの圧迫による物理的刺激、薬品やその他の物質による化学的刺激でも起きます。発汗によるコリン性じんましんという発疹の形が違うタイプもあります。しかし、原因がわからないことが多くて、その時は“特発性じんましん”と診断します。
原因がどうでも、皮下に広く分布している“肥満細胞”という細胞から、刺激でヒスタミンが放出されることで症状が出現します。ヒスタミンは血管の壁を作っている細胞の間隙(かんげき)を広げ、そのため血漿(けっしょう)成分が漏れ出して膨疹ができ、同時に神経を刺激してかゆみを起こします。時間とともに漏れた血漿成分が次第に吸収されて症状がなくなります。同じ部位の膨疹は長時間続かないのが特徴です。ヒスタミンの作用を抑えると症状が軽くなるので、治療は抗ヒスタミン薬を内服します。この薬は、ヒスタミンが結合する場所にヒスタミンがくっつかないよう邪魔をして効果を発揮します。
B君は1週間ほど抗ヒスタミン薬を飲んで症状が出なくなったので“急性特発性じんましん”として治療は終わりとしましたが、薬を止めると数カ月にもわたって症状が再燃する“慢性特発性じんましん”と診断するしつこい経過をとることもあります。そういう場合は、診断や治療に詳しい皮膚科やアレルギー科の先生に相談するといいでしょう。

 

浜崎 雄平(はまさき ゆうへい)
佐賀整肢学園 からつ医療・福祉センター顧問。佐賀大学名誉教授。
1948年、鹿児島県日置市生まれ。九州大医学部を卒業し、テキサス大やオクラホマ大研究員などを歴任。
84年から佐賀医大(現佐賀大学医学部)小児科講師として勤務し、00年に同大小児科学教授就任、09年から医学部長を兼任する。
14年から現職。専門分野は小児の呼吸器/循環器疾患、アレルギー疾患。

 

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