昨年のインターハイの陸上で、上位を目指して懸命に走る選手たち。今年はスポーツでの進学や就職を目指す3年生のアピールの場が失われている=2019年8月7日、沖縄県のタピック県総ひやごんスタジアム

 佐賀県高校総合体育大会(県総体)が初めて中止になり、スポーツ推薦で進学や就職を目指す生徒への影響が懸念されている。新型コロナウイルスの感染が広がった春以降、大会が軒並み中止となり、“最後”のアピールの場と期待された県総体も開かれなかった。3年生になってからの記録や実績がない異例の事態に、生徒を送り出す指導者も対応に苦慮している。

 「スポーツで進学しようと思っていた生徒にとって、『入学試験』の一つがなくなった状態」。ボクシングの指導に長年携わる白石高の森田隆宏教諭は、県総体の中止をそう例える。

 推薦をもらうには、夏の大会までの成績が参考にされることが一般的。森田教諭は、2年生で全国大会に出場していれば実績になるとみるが、「大学側にどう評価してもらえるか心配だ」と漏らす。

 県中部のサッカー部顧問は「大学が開く練習会に参加し、監督に技量を見てもらうケースも考えられる」と話す。ただ、「監督同士のつながりがあれば、そういうこともできるだろうが、置かれている環境によって生徒に有利、不利が生じる。やはり大会がないと客観性が得られない」とみる。

 生徒を受け入れる大学側も頭を悩ませる。福岡県のある私立大学は、スポーツ特別推薦試験に際し「全国高校総体(インターハイ)でベスト16以上や九州大会でベスト4以上など、個人、団体で活躍したことが条件」と選考基準を示してきた。今の3年生は全国、九州大会ともに開かれないため「現時点ではどのような基準にするか検討中」と説明する。

 箱根駅伝などで活躍する選手を輩出してきた鳥栖工高駅伝部。例年なら大学側のスカウトが大会や練習の視察に訪れるが、今年は見送りになった。既に進路を決めている生徒もいる一方、総体に照準を定め、練習に打ち込んできた生徒もいる。古川昌道監督は「3年生になって一気に伸びる選手もいる」と強調し、「総体の代替大会をできればそこで力を発揮し、進路にもプラスになる」と話した。

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