保管されているタマネギ。市場では在庫がだぶつき、例年の倍近い量になっているという=佐賀市の佐賀青果市場

 収穫が最盛期を迎えた佐賀県産のタマネギを新型コロナウイルスが直撃している。緊急事態宣言に伴い外食産業などの業務用需要が落ち込み、価格が例年の半値近くに急落。農家からは「このままでは経費も出ない」とため息がもれる。

 県産タマネギは北海道に次ぐ収穫量を誇る県の主要作物で、3月から6月を中心に出荷する。JAさが園芸部は「国が緊急事態宣言を出した4月7日以降、価格が段階的に下がっていった」と話す。3月の平均単価は1キロ当たり118円とほぼ前年並みだったが、4月は59円に急落した。

 関係者によると、タマネギは全国の消費量の6割以上が業務用や加工用になっている。宣言を受けた外食店の営業停止などで、この需要が一気になくなり、本来は契約先に納入される北海道産も出回り、市場がだぶついているという。

 今年は天候に恵まれ、タマネギの収量は多いというが、佐賀青果市場(佐賀市)は「4月の値段は昨年のほぼ半値。5月に入って1キロ30~40円とさらに落ちた」と説明する。倉庫には在庫が山積みで、柔らかい早生の品種は1週間ほどしか保存が利かないため、担当者は「何とかさばくしかない」と苦渋の表情だ。

 価格の大幅な下落は、市場に出荷する費用も賄えない状況を生じさせている。杵島郡白石町の30代の農家は「肥料代など経費も掛かっているので本当に厳しい。今まで仕事をしたのが無駄になりかねない」と頭を抱える。例年、人を雇って収穫する農家が今年は収穫を取りやめたとの話も聞くという。

農相「タマネギ特化対策はできない」

 新型コロナウイルスの影響で需要が低下し、佐賀県内でも価格が下落しているタマネギに関し、江藤拓農林水産相は12日、「タマネギに特化して対策はできない」との見解を示した。野菜の価格低下時に生産者を支援する既存制度を利用することに理解を求めた。

 衆議院農林水産委員会で、立憲民主党の大串博志議員(佐賀2区)の質問に答えた。江藤氏は「佐賀の新タマネギはスライスにして食べると非常にうまい。水分が多く、一時保管に向かないという事情がある」と述べた上で、タマネギなど14品目を対象にした野菜価格安定制度を説明した。その上で「しっかりと補給金を出せるように補正予算で50億円を積み増しした。この制度に基づいてやらせていただく」と答弁した。

 大串氏はタマネギを出荷せずにすき込む農家も出ている苦境を指摘し、「平時の制度を使う平時の発想だ」と政府の対応を批判、支援制度の拡大や要件緩和などを求めた。江藤氏は「要件を付けずに財務との交渉は不可能。税金を使う以上、一定の要件を定めることに理解をいただきたい」とした。

 今後も収穫は続くが、JAさが園芸部は「先行きは全く見通せない。首都圏など大消費地での需要回復を願うしかない」と話す。現在、出荷調整など対策を検討中で、国や県なども含めて農家の支援策を話し合っている。

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