これまでに刊行された「佐賀県近世史料」(提供)

東京国立博物館所蔵「古賀穀堂遺稿」(提供)

 佐賀県立図書館(佐賀市)が「佐賀県近世史料」第8編(思想・文化編)の第5巻を刊行した。文豪・森鴎外(1862~1922年)が総長を務めた東京国立博物館に収蔵された「古賀穀堂遺稿」などから、藩校の教授で鍋島直正(1815~1871年)の側近として活躍した古賀穀堂(1777~1836年)の人となりが浮かび上がる。

 県立図書館は2011年、佐賀市松原の徴古館に残る著作や書簡を中心に穀堂の調査をしている。その中で東京国立博物館に穀堂の関係資料が残されていることが分かり、見つかった92冊のうち46冊の表紙に鴎外の書き込みが認められた。当時博物館の総長だった鴎外が、1920年に東京・上野の古書店で買い求め収蔵し、丹念に読み込んだものと見られる。

 前半は文書や書簡、後半は漢詩で構成。漢文に読点や注釈を付け、約90人の関連人物一覧や年表を収録した。幼くして「宇宙大地の英雄」になろうと壮大な志を持ち、当時一流の人物と交流した穀堂の人間味あふれる一面が垣間見える。

 同館近世資料編さん室の伊香賀いこうが隆さんは「本書で上杉鷹山への尊敬の念や米沢藩との交流もわかる。直正の質素倹約は古賀穀堂に起点があるのではないか」と語る。

 ▼A5判、本文871ページ(口絵8ページ、解題98ページ、目録11ページ)。1万円(税込)。県立図書館で販売、貸し出す。同館近世資料編さん室、電話0952(24)2900。

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