県高校総体の中止が決まった11日も、朝から多くの高校生が自主練習に取り組んでいた=佐賀市のSAGAサンライズパーク庭球場

 新型コロナウイルスが、運動部で汗を流してきた高校生の晴れ舞台を奪った。11日、史上初の中止が決まった佐賀県高校総合体育大会(県高校総体)。「最後の大会」を目標に、練習に打ち込んできた3年生からは悲痛な声が上がった。

 「今年は先輩の分まで絶対に勝とうと思っていた。信じられないし、ショック」。4年連続で出場してきた全国大会を昨年は逃した佐賀女子ソフトボール部の菱谷香実さんは、恩師の前で目を赤らめた。福岡県の親元を離れて寮生活を送り、練習に励んできた。「成長した姿を家族に見せたかった」と悔しがった。

 全国総体に出場した昨年以上の成績を目指していた鳥栖商女子バレーボール部の松尾愛美さんは、4月26日に全国総体が中止になった際、「県総体では『絶対に優勝』とみんなで話していたのに」と嘆く。部員のみんなに携帯電話の通信アプリで中止を伝えると、失意の声が書き込みにあふれた。

 感染予防のため閉鎖され、11日から運用が再開された佐賀市のSAGAサンライズパーク周辺では陸上やテニスの選手たちが自主練習に励んでいた。龍谷テニス部の徳久正之さんは「最後に力を発揮する場がないのは残念」とうつむいた。

 高校からボクシングを始めた白石の久原達喜さんは休校中も大会開催を信じ、走り込みやシャドーボクシングを続けてきた。「いいパフォーマンスを出せる自信があったのに」とやり場のない感情をにじませた。

 懸念されるのが進路への影響。大学のスポーツ推薦などでは、成績が選考基準の一つになるという。

 「先輩は総体で結果を残して推薦を受けた」。唐津南バドミントン部の宗昂洋さんは、今回の県総体で個人単複と団体の3冠を狙っていた。その結果を残す場所がなくなってしまい「不安もある」とこぼす。

 全国高体連は部活動の成果を出せる場を設けることについて、各県の高体連などに要望しているが、県高体連は「未定」とし、代替大会の実現は見通せない。

 県総体で団体3連覇を目指した敬徳卓球部の牧山亮真さんは、結果で保護者や恩師に感謝の気持ちを伝えることはかなわなかったが、「3年間やってきたことは無駄じゃない。絶対に自分たちのプラスになると信じたい」と声を振り絞った。

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