県高校総体の中止が決まった11日、教え子が活躍する姿を期待した指導者や、厳しい練習に耐える子どもを見守ってきた保護者にも落胆が広がった。新型コロナウイルスの感染が拡大し、全国総体や九州総体の中止が決まる中、「何とか県総体だけでも…」。そんな思いはかなわなかった。
「中止が決まりました。とても苦しいです」。佐賀女子ソフトボール部の津上さおり監督は、無料通信アプリ「LINE」で、厳しい決定を生徒に報告した。
同新体操部の横川由美監督は「3年生のことを思うと大会がないのはつらい」と表情を曇らせた。3年生6人のうち3人は県外出身で「新体操をするために来ていた」という。「いいメンバーがそろっていた。力を試してみたかった」と無念さをにじませた。
「指導者として、どう声を掛けて次に導くか」。佐賀学園男子バレーボール部の蒲原和孝監督は自問する。2月末以降、いつ大会中止が告げられるか分からない中で、「今日が最後という気持ちで練習に臨もう」と声を掛けてきた。生徒たちのショックを推し量り、「今までの頑張りは消えない。一緒に過ごしてきた自分にしか言えないことを伝えていきたい」と話す。
陸上部に所属する3年生の息子を持つ会社員の立石康晃さん(48)=佐賀市=は「大会までやり遂げてほしかったのに…」と大会の中止に戸惑いを隠さなかった。
各競技の「代替大会」の開催は現時点では未定。3年生の娘がバレーボール部に所属する父親(45)=三養基郡みやき町=は「就職や受験勉強もある。何とかやりくりして代わりの舞台をつくってほしい」と切に願った。