小学生が学ぶ人権学習教材のイラスト(佐賀県教育委員会提供)

開発した人権学習教材を説明する松下一世教授=佐賀県庁

 佐賀県教育委員会と佐賀大教育学部の松下一世教授(人権教育)は、小中学校の道徳の授業で活用できる人権学習教材を共同研究で開発した。教室の電子黒板を用いるデジタル教材で、差別や子どもの権利、多文化共生など多様な人権テーマを取り上げる。児童生徒が自ら考えたり話し合ったりするのを促し、主体的な学びを通じて人権教育の充実を図る。

 「偏見って何だろう」(小学5年)「いろいろな愛のカタチ、性のカタチ」(中学1年)など発達段階に応じて12の教材があり、映像やイラストを使って分かりやすくしている。県内の関係者のインタビューを盛り込み、方言も使って人権問題を身近に捉えられるように工夫した。

 中学2年の教材では部落差別問題を取り上げ、当事者の体験談などを通じて生徒に考えさせる。2019年1月に県内の当時高校生が被差別部落の住所一覧を記載した出版物をインターネット上で売買する事件が起きており、県教委人権・同和教育室は「人権学習をもっと積極的に推進していく意味からも教材を開発した」としている。

 道徳は小学校で18年度、中学校で19年度に教科化されたのに伴い、「考え、議論する道徳」への転換が求められている。開発した教材は電子黒板を活用して展開し、読み物中心だった授業の改善を図る。松下教授は「デジタル教材を通じて結論ありきの授業ではなく、児童生徒がいろんな気付きを通じて人権に対する知識と感覚を養うことができる」と話す。

 人権学習教材は6月以降に各学校に配布する。 

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