さがびよりの栽培、防除について指導した関係機関による研修会=小城市三日月町のドゥイング三日月

■2014年1等級比率、過去最低 いもち病、ウンカ…被害拡大、防除徹底を呼び掛け

 2014年佐賀県産米の主要品種「さがびより」の1等級比率は62・0%(昨年12月31日現在)で、過去最低だった前年実績(69・1%)を7・1ポイント下回った。品質低下の要因としては、長雨や日照不足による病害虫被害が指摘されている。さがびよりに対する市場の期待は大きく、関係機関は品質維持に向けて、防除体制や栽培管理の徹底を呼び掛けている。

 14年産のさがびよりは記録的な長雨と日照不足で前半から生育が遅れ、後半は細長く成長し、穂数が平年より1割少なくなった。ただ、もみの数、玄米の重さは平年より増えたという結果が出ていた。「県の作況調査では持ち直し、まずまずの結果になると聞いていた。しかし、等級を調べると、厳しい結果。なぜなのか」。鹿島市のコメ農家は首をかしげた。

 1等級比率は、生産が始まった09年が93%と最も高く、10~12年は80%前後、この2年は60%台になった。県農業技術防除センターは、14年産の品質低下の要因として病害虫の被害を指摘する。降水量が平年の3倍、日照時間は42%という8月の異常気象によって、いもち病の発生が平年より多く、8月20日には21年ぶりに警報が出た。天候が回復した8月下旬に薬剤を散布したが、菌の密度が高かった地域では穂に広がってしまったという。

 13年産ほどではなかったが、病害虫トビイロウンカから養分を吸われて枯死する「坪枯れ」の被害も一部に広がった。中国からの飛来量は平年並みだったが、第1世代の幼虫が生まれる7月上旬~8月上旬に長雨になり、農薬散布が遅れたり、雨で流れたりするケースがあった。細長く軟弱に穂が成長したため、虫が密集する株元に薬剤が届きにくかったとみられる。

 同センターの担当者は「病気、虫ともに適切な防除をできたかどうかで差がついた。効果が高い農薬を適期散布する地道な対策をあらためて徹底してもらうしかない」と助言。JAさがの担当者は「地力向上のためのわらのすき込み、生育ステージに合った施肥・水管理という基本を徹底してほしい」と初心に戻る重要性を強調する。

 15年産の作付けは前年比360ヘクタール増の5250ヘクタールを計画している。市場からの増産要請に加え、高温障害の影響で品質低下が進むヒノヒカリから転換する必要性があるためだ。

 15年産では、種子消毒も「重点実践事項」として取り組んでいく。いもち病が発生した翌年は、残ってしまった菌によって苗に発生する恐れがあり、農家が種子、育苗箱での感染拡大を防ぐために殺菌するのが重要という。

 県農業技術防除センターの西岡廣泰専門技術員は「多発地域では苗の感染防止に高い効果がある薬剤を使ってほしい。例年と違う対策となるだけに、意識的に取り組んでもらいたい」と呼び掛ける。

■県産うるち米は前年比17・3ポイント増

 佐賀県の2014年産の主食用うるち米の1等級比率は59・1%(昨年12月末現在)で、前年を17・3ポイント上回った。コシヒカリや夢しずくなど早生種はまずまずだったが、ヒヨクモチなど中晩生種が苦戦した。

 農水省のまとめによると、12月末時点で検査された県産米は6万5363トン。コシヒカリの1等級比率は84・7%(前年比0・6ポイント減)、夢しずくは73・8%(35・8ポイント増)。早生種は病害虫の影響をあまり受けなかった。

 一方、ヒノヒカリは32・2%(19ポイント増)、さがびよりは62・0%(7・1ポイント減)、ヒヨクモチは24・3%(19・4ポイント減)。過去最低を記録した品種もあり、中晩生種は長雨や日照不足、病害虫の影響が色濃く出ている。

 県産米の2等級は33・7%、3等級は3・4%、規格外は3・7%だった。

 全国の1等級比率は、大産地の北海道や東北の豊作が押し上げて81・5%となった。九州は54・0%と低調。県別では、大分の64・2%が最も高く、宮崎62・4%、熊本55・0%、鹿児島49・5%、福岡43・8%、長崎38・1%と続いた。

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