新型コロナウイルスの感染拡大が続いている中でも、自然災害は容赦なく襲ってくる。この状況で、洪水や土砂崩れ、地震、噴火などが起きれば、避難所で集団感染が発生する恐れが強い。災害と感染症のダブルパンチを避けるための準備を急ぎたい。

 大地震や水害の際には地域の集会所や小中学校の校舎、体育館などを避難所として使う。畳敷きの所だけではない。床にブルーシートを敷いて雑魚寝するケースも多く、不特定多数の人を収容するので密閉、密集、密接の「3密」となる可能性が極めて高い。

 東日本大震災や熊本地震などが発生した後、避難所ではインフルエンザの流行やノロウイルスの感染、集団食中毒などを招いている。現状のままでは感染症に弱いことは明らかだ。

 さらにトイレが少なくて汚い、キッチンがなく温かい食事がとれない、ベッドがないなどの課題も指摘されている。新型コロナの感染防止策と併せて、これらの問題を同時に解決することで、過ごしやすい避難所にするきっかけにできる。

 国は4月初めに避難所での対応策を地方自治体に通知している。この中では、可能な限り多くの避難所を開設することやホテル、旅館、親戚や友人の家への避難を検討するよう求めている。このほか自分の車やテントを使って避難生活することを選択する人もいるだろう。

 3密を回避するには、指定避難所以外のあらゆる公共施設を「サブ避難所」として活用することや、ホテルなどを使う「分散避難」は不可欠と言える。自治体はホテルや屋外での避難に適した安全な場所の確保を進めてほしい。

 多くの自治体は防災行動計画(タイムライン)を作成し、どのタイミングで避難所を開設して避難を促すかを定めている。避難する場所が増え、遠くに行く人も出てくることから、このタイムラインの見直しを併せて実施することも重要だ。

 避難者にはマスク、体温計、消毒液の持参も伝える。避難所を開設する際は、体温の測定、マスクの着用、手洗いやせきエチケット、発熱の症状が出た場合は申告することなど基本的な衛生対策について、避難者と確認すべきだ。

 トイレのドアノブを消毒したり定期的に換気したりするほか、避難者が集まらないようにするなど避難所の運営者が気配りすべき点も多い。知識を共有するため講習会を開くことを提案する。

 感染を防止するためには一人一人に十分なスペースをまず確保する。発熱やせきの症状がある人向けのスペース、できれば個室も用意し、専用のトイレも確保したい。

 もし感染が疑われる人が出てきた場合にどう対応するかについても、運営者や保健師らの間で手順を定めておくべきだろう。

 避難所の環境改善も急務だ。避難所・避難生活学会は「ストップ・ザ・雑魚寝」を訴え、災害時に使えるトイレや簡易ベッドの備蓄、温かい料理が出せるキッチンカーの配備を提唱している。

 段ボールベッドの活用も一部で始まり、段ボールを使った簡易型の診療室や授乳室が設置される例も出てきた。集団感染による「災害関連死」を出さないためにも、避難所での生活の質を向上させなければならない。(共同通信・諏訪雄三)

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