3月、佐賀市で開かれた意思疎通支援者養成研修事業の修了式。新型コロナウイルスの影響で、失語症者との接触できず、支援の見通しは立っていない(提供写真)

 脳疾患の後遺症などでコミュニケーションが取りにくくなった失語症者との意思疎通を図るため、佐賀県と県言語聴覚士会が養成した支援員の本年度の活動が、新型コロナウイルスの影響で、見通しが立たなくなっている。3月で研修を終えた支援員からは、県内約1300~3千人に上る失語症者が、コロナ禍に関する情報や感染防止に対する行動などについて適切に受け止めているのか、心配する声が上がっている。

 失語症者への意思疎通を図る支援員養成事業は、県言語聴覚士協会が県からの委託を受け昨年10月から半年間実施した。コミュニケーション技法や外出の際の同行技術など、専門性の高い研修を積み重ねた。

 研修は今年3月で終わり11人が意思疎通支援者としての修了証を受け取った。本年度からは実地訓練を兼ねて、失語症者が同席するサロンを県内各地で開き、数年後の本格的な派遣事業につなげる予定だった。

 ただ、県内でも新型コロナウイルスの感染が相次ぎ、全国に緊急事態宣言が発令されたことで、支援員と失語症者の接触が事実上困難になった。

 修了生の一人で佐賀市の公務員の東嶋さおりさん(41)は、活動休止は仕方がないとしながらも「失語症になると新聞やテレビの情報を読み解くのが苦手になると教えられた。感染防止に向け意思疎通を図る重要な時期なのに、活動できないのはつらい」と危機感を募らせる。

 県言語聴覚士会の緒方克則会長は「サロンが開かれず失語症者に会えないことで、支援者のスキルアップの機会を失った。このままでは、今年秋に予定していた2期目の養成研修事業にも影響が出て、その後の本格的な派遣事業も見通せなくなる」と話している。

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