「魚がかわいそうになるくらい半値以下が続いている」とつぶやく漁師の井上健一さん=唐津市肥前町の駄竹港

 新型コロナウイルスの影響で飲食店の休業が続く中、漁業関係者も苦境に立たされている。家庭での需要が見込めない高級魚のタイやウニを中心に低価格が続き、収入が激減している。

 「魚にも失礼なぐらいの値段しかつかない。半値以下ですよ」。タイ漁を手掛ける井上健一さん(44)は声を落とす。一般家庭での魚食が減り、収入も減少傾向にある中での飲食店の休業だった。「唐津の市場だけでは魚がはけていかないから、福岡の市場にも持っていく。だけど、運送費もかさんで、なかなか利益は出ない」。活路を見いだそうと、冷凍刺身のネット販売を始めた。

 5月からがシーズンのウニを売りにする袈裟丸水産の袈裟丸彰蔵さん(42)は、取引している関東の飲食店やすし店が全て4月から休業し「収入は9割減で大打撃。市場でも半値以下にしかならないから、なるべく採らないようにしている」と明かす。「今はじっとこらえ、良質なウニが先々採れるように海の環境を守る畑作りをしていく」

 大型連休に大勢の観光客が味わってきた「呼子のイカ」。例年なら4月末から連日、イカ漁に出ていた小川島の川添光尚さん(64)は「今年は需要がない」と、3月中旬から漁に出ていない。昨年から不漁にも見舞われていた。この時期は水揚げ量も少なく「燃料代とどっちが上回るか…。漁に出ようにも出られない。収入は5分の1で、保険や貯金を切り崩して年金で生活しとるよ」と切実な思いを口にする。

 佐賀玄海漁協によると、タイやウニは、昨年の最高値と比べると半値ほどになっており、立野弘幸専務理事(66)は「入荷量が少なくても、値段が上がらない」と表情を曇らせる。

 海岸通の魚市場では、普段は全体に鮮魚などが並ぶが、4月28日は半分ほどだった。ウニなどを取り扱う仲買人は「普段の1割ほどしか買えていない。価値を下げないように安値では売りたくない気持ちもある」と心苦しそうに話した。

 漁業者の苦境を受け、自治体は支援策を講じつつある。唐津市は4、5月の燃料購入費の半分を補助し、県水産課も「支援策を検討中」と話す。

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