こどもの日は「いまいち」な祝日―。70年代の子ども文化をまとめた『小学生歳時記』(初見健一著)に書いてある。お正月やクリスマスならお年玉やプレゼントがもらえるのに、子どもが主役の日はそんな「実益」に乏しい。欲しいものは山ほどあるのに、なかなか買ってもらえなかった昭和の子には、なんとなく気持ちがわかる◆あのころ、おもちゃ屋や本屋の前で、駄々をこねて大泣きする子どもがいたものだが、最近はあまり見かけない。「日本の子どもたちは声が小さくなった」と以前、詩人の谷川雁さんが語っていた。それは、はしゃぐことがなくなったからではないか、と◆豊かになって、子どもたちが泣いたり笑ったりする心の表現の幅が、昔に比べて狭まっている、と指摘する専門家もいる。新型コロナの影響で我慢を強いられ、ますます感情を表に出せなくなってはいないかと気にかかる◆近ごろ、巣ごもり消費で「昭和玩具」が見直されている。「人生ゲーム」「黒ひげ危機一発」…アナログなゲームなら家族みんなで楽しめる。そんな流行を映して、きょうの12、13面にはカルタが載っている。苦境にある県内企業を、遊びを通して応援する企画でもある◆昔と今の子どもが「やった」「しまった」と大きな声をからす。「いまいち」な日も、きっと「最高」の一日になる。(桑)

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